今回は浦安市のE様邸にて施工をさせていただきました、和風の小庭づくりのご紹介です。

小さな日陰の庭スペースという環境を活かし、蹲やモミジの植栽など、随所に和風の魅力を散りばめた小庭デザインとなっております。

日陰の庭は植栽選びを的確に行う事で、日向の庭よりも葉色を楽しむ事ができ、木々の姿も葉の少なめな大人しい印象に育てる事が可能となります。

日陰のモミジならではの雰囲気や、暗い場所ほど引き立つ小さな燈篭(蹲周り)など、静かな佇まいを楽しむ坪庭風レイアウトを考えました。

蹲では水照らしの意味合いを持つ、燈篭の据え付け

岬燈篭の据え付け
まず、坪庭風のデザインとしては大切な役割を果たす背後のスクリーン(樹脂ウッドフェンス)を施工し、庭の最奥部に岬燈篭を据え付けます。 背後のウッドフェンスの施工風景につきましては庭づくりブログ-浦安市E様邸目隠し対策 樹脂ウッドフェンスの施工作業にてご覧戴く事が出来ます。
岬燈篭の台石は同じく御影石のもので、小さくとも厚みのあるものを吟味して使用致しました。

下地のコンクリートも厚めに盛り付けており、可能な限り「高さ」を出せる様に設計しております。
小さな庭程、素材のバラつきや高低差により全体的な立体感が生み出されます。
完成時の雰囲気を造園開始より念頭に置いて施工を進めていきます。

 

手水鉢・前石の据え付け

手水鉢と前石
岬燈篭とは対照的に、やや掘り下げ気味に手水鉢を据え付けます。 出来るだけ深く沈めた雰囲気を出す為台石は用いず、コンクリート製の下地上に据えております。

前石となります飛石用の石は、加工されたものではなく自然石をご用意。 古くよりそこにあった様な存在感を演出しております。

 

蹲周囲の植栽を進めておきます。

コンフューサの植栽
手水鉢周りの石を組み付けますと植栽がしづらい為、この時点で蹲に添える低木、マホニアコンフューサを植栽します。
手水鉢の背後には鏡石となる大きめの庭石が据えられる為、その石に合わせる様に調整のうえ植栽します。

 

ヤマモミジの植栽
植栽の中では主役となりますヤマモミジを植え付けます。 こちらのお庭の環境と似た場所で管理されたモミジですので、日陰的な姿が完成されております。 葉が少なく、日照を求めて細いまま背を伸ばした様が、日陰らしい雰囲気を一層醸し出します。
日陰の落葉樹のメリットと致しまして、夏場の葉焼けが起こらないという事がございますが、日陰地の場合はうどんこ病などのリスクもございますので、お客様の行っていただける範囲での殺菌剤散布などが予防に効果的です。

 

蹲を構成する役石(鳥海石)の据え付け

役石の据付 P1020316
奥に鏡石、左右の役石を据え付けた蹲周り。 湯桶石・手燭石共に、手水鉢の持つ丸みに合わせた面を合わせました。水平面も使いやすく合わせ、構成をまとめていきます。 茶道とは異なりますが、この石に季節の鉢物などを置かれますと、非常に美しい眺めとなります。

 

役石を小石で組みつけます
役石を繋ぐ様に小さな庭石を使って海を囲っていきます。 据え付けにはコンクリートを使用しておりますので、見た目以上に丈夫な作りとなっております。

 

蹲の「海」へ固まる土を施工しておきます。

海の内部は固まる土を施工 P1020323
海の内部は砂利の沈み込みを予防する必要がございます。 また、雑草の抑制と同時に水捌けも必須でございますので、透水性の簡易舗装(固まる土)を施工しております。 細かな部分まで敷き均しが可能な素材ですので、石組のきめ細やかさを損なわずに仕上げる事が出来ます。

 

整った庭石周りへ下草類を植栽していきます

燈篭廻りの植栽 下草植栽の構成
燈篭廻りへの下草植栽は、台石を柔らかく見え隠れさせる事を考えて施工します。 燈篭そのものを隠し過ぎてしまう事も気を付けなければなりません。 蹲以外の部分へも庭石や下草類を振り分け、全体デザインを形付けていきます。

 

完成した蹲廻り
植栽を終えた蹲廻りの様子。 庭石が噛み合い、周囲の植栽と静かに共存する風景です。

 

砂利仕上げとなる部分へ雑草対策を兼ねて防草シートを敷き込みます。

お庭の空間に防草シートを施工 庭の隅々まで防草シートを敷き込みます。
砂利仕上げとなる空間を整地し、防草シートを敷き込んでいきます。 整地しながら踏み固め、隅々までシートを施工しておきます。

下草ラインに合わせてシート施工
下草によって作られたお庭ラインに合わせ、防草シートを施工していきます。 防草シートよりも下草ラインの方が高くなっている事がお解かりいただけると思います。 この緩やかな盛り上がりが、お庭の印象に大きな影響を与える事となります。 緩やかな高低差を出すには下草類の密生度も必要ですので、このラインを少ない数の植栽で仕上げると泥流れの原因となってしまいます。長い時間を掛けて密生した雰囲気を出す為、時折ランダムに密生レベルを変化させながら植栽しております。

 

蹲の最終仕上げ、伊勢砂利を敷き詰めます。

海の中へ伊勢砂利を敷き詰め
庭づくりの仕上げは錆砂利敷き、蹲の海への砂利敷きとなります。 やや大粒の伊勢砂利ですが、細部まで敷き込むことで奥深さを感じられます。

 

施工を終えた、蹲を持つ小さな和風の庭です。

完成した和風の小さな庭
完成した小さな和風のお庭です。 植栽部分や石組はしっとりとした雰囲気を出しながらも、手前空間部分は錆砂利によってすっきりと明るい空間となっております。 お住まいへの採光や風通しを妨げる事なく、日陰ならではの風情を感じられる小庭が完成致しました。
こちらのお庭はお庭の施工例-浦安市E様邸 蹲を無駄なく設えた小さな和風の庭にてご紹介をさせていただいておりますので、ぜひご覧下さいませ。

幅・奥行き共に3メートル以下の日陰地におきましても、環境を活かして風情ある庭風景を生み出す事が出来ます。
日陰ならではの植栽、庭石に表情を、是非お住まいに取り入れてみては如何でしょうか。

それでは失礼致します。