庭のデザイン~造園工事を行っております、新美園:新美雅之です。

花壇があるものの、何を植えていいのか思い浮かばず持て余してしまっている事はないでしょうか?

実は庭木や植物を使ったデザインを花壇へ取り入れれば、そこは普通の庭よりも際立つ眺めになるのです。

これは花壇が四方を囲まれた額縁の様になっていて、そこが作品の様に引き立てられる為です。

ここでは花壇を植栽レイアウトによって庭の様に見せる8つの方法を、私の施工実例と共にご紹介を致します。

 

①シンボルツリー・低木・庭石でスモールガーデンに見せる

小さな花壇の中であらゆる材料を使う際は、材料を小さくして植木は生育の緩やかなものを選びます。その時は小さいからと普通に植木を植えたとしても、すぐに品種それぞれの適正サイズまで伸びたがります。

メインの植木(シンボルツリーなど)の選択を終えたら、その木に寄り添う様な副木の様な植栽をレイアウトするのがおすすめです。例えば常緑樹と落葉樹の組み合わせなど、印象が異なるもの同士も面白味があります。

こちらでは2本の植栽に加え、小さな庭石とグランドカバーを使って洋風スモールガーデンの様な雰囲気を作っています。

シンボルツリーに脇役を添えたレイアウト

シンボルツリーに脇役を添えたレイアウト

シンボリツリー1本では作れない雰囲気も、脇役が揃えば立派なお庭に見えます。
小さな花壇でも材料を小さく織り込めば、スモールガーデンを楽しめます。

施工場所:駐車場の小さな花壇
環境:西向きの日向
植木:ソヨゴ(シンボルツリー)
低木や下草:
ブルーベリー(ハイブッシュ系)・ブルーパシフィック

 

同じレイアウト法でも植栽次第で和風の花壇に

反対にこちらの花壇では大名竹や下草類に加え、鳥海石をレイアウトした小さな和風の庭に。
使用する植木や石によって雰囲気もがらりと変化します。
竹は周囲に移動して生育してしまうやっかいな面もありますが、しっかりと区切られた花壇内であれば安心して植える事が出来ます。

大名竹と鳥海石のレイアウトで和風花壇に

大名竹と鳥海石のレイアウトで和風花壇に

大名竹はその姿から目隠しとしての効果もあります。下草も和風を意識した種類を選んでおりますが、花壇の中は苛酷な環境となりますので、剛健種を中心に選ぶ事が望ましいでしょう。

施工場所:玄関横の花壇
環境:南側の日向
植木:大名竹
低木や下草:リュウノヒゲ・セキショウ

 

コーナー花壇に制約されない自由な洋風ナチュラル感

小さなコーナー花壇でも、シンボルツリーと副木、小さな庭石を使って立体感を感じる小庭を仕立てる事が出来ます。自由に生育する様子を表現する事で、作り込みを感じさせないナチュラルな庭の表現が可能です。

花壇の中を洋風ナチュラルな庭に

花壇の中を洋風ナチュラルな庭に

常緑樹と落葉樹を織り交ぜた植物を合わせると共に、色味も散りばめる様な素材選びをすると面白味のある小庭に仕立てる事が出来ます。
広葉樹、針葉樹、グラス系等、あらゆる形状の植物を組み合わせれば、動きを感じさせるデザインに仕上がります。

施工場所:道路沿いの花壇
環境:南側の日向
植木:ホンコンエンシス・セイヨウカマツカ
低木や下草:マホニアコンフューサ・カレックス類・ブルーパシフィック・ウィルトニー他

 

②花壇の直線を打ち消すレイアウト

予め設けられている花壇はほとんどの場合、直線によって構成されています。
この形に添って植木を並べていきますと、非常に単調な風景になってしまいがちです。

アイポイントを揺らして動きのある花壇に

植栽の位置は限られているので単純な横並びになるのは仕方ありませんが、植栽の種類や大きさに変化を付ければ単調なラインを打ち消す効果があります。また、つい目で追うアイポイントの位置を手前や奥へ振る事で、さらに動きを感じる様になります。

長方形花壇での応用例

特に細長い花壇の中ではどうでしょうか。
こちらの施工例では植木の種類に変化を付け、さらに先述のアイポイントとなる庭石を、手前や奥へ振る様に据える事で動きのあるお庭に見せています。細長い単調な形の花壇である事を思わせない、華やかな花壇デザインです。

庭石に動きを付けたレイアウト

アイポイントの庭石に動きを付けたレイアウト

植木の種類や動きのレイアウトはもちろん、こちらでは色彩の散りばめ方も特徴的です。同じ緑色は無く、レッドリーフやイエローリーフも取り入れています。

施工場所:ビルエントランスの花壇
環境:東向きの半日陰
植木:紅花トキワマンサク・シマトネリコ・ジューンベリー
低木や下草:マホニアコンフューサ・クルメツツジ・クリスマスローズ・ギボウシ他

特に奥行の短い花壇での工夫

樹種の変化で立体感を出すレイアウト

樹種の変化で立体感を出すレイアウト

更に奥行の短い花壇ですが、こちらですと植木や庭石の位置は必然的に横並びになります。この様な場合は植木の種類、高さはもちろん、特に葉色や雰囲気が大きく異なる樹類を組み合わせる事で単調な雰囲気を避ける事が出来ます。 特に低木雑木類ですと樹形に個性がありますので、景観的にも動きの出る木を選ぶ事がお勧めとなります。

施工場所:玄関アプローチ沿いの花壇
環境:北側の半日陰
植木:ソヨゴ・アロニア・アデク
低木や下草:マホニアコンフューサ・アベリア・クリスマスローズ・カレックス他

アイポイントに変化を付け、花壇の角や直線を目立たなくする

花壇の中でアイポイントに変化を付ける

花壇の中でアイポイントに変化を付ける

こちらの花壇では高木となる2本の庭木を左右両端に振り分け、中央に低木エリアを設けています。

これにより眺めるポイントがくまなく分散され、花壇全体が植栽で充実して見える様になります。
特に中央には葉色が鮮やかなツゲ(貴婦人)をレイアウトしており、

自然石のレイアウトは大きさや位置に変化を付けており、花壇特有の単調なラインを感じさせない景観に。

花壇の角には大株のカレックスをレイアウトし、直角のシルエットを打ち消しています。

施工場所:道路沿いの花壇
環境:西側の半日陰
植木:ソヨゴ・ヒメシャリンバイ
低木や下草:マホニアコンフューサ・ツゲ(貴婦人)・カレックス他

 

③空間を作って低木類に立体感を出す

先述の様にシンボルツリーを1本決めて、後は周囲を控え目な低木類やグランドカバーで仕上げれば、花壇は驚くほど充実した「庭」に見えてきます。
この際、無理に花壇全体へ木を植える必要は無く、むしろ植えない空間(砂利敷きなど)を作る事で、植物にとっての好環境を作り出せます。

シンボルツリーと低木エリアに、砂利空間を加える

中央の砂利が低木も立体的に見せる例

中央の空間が低木を立体的に見せる例

こちらの施工例では玄関脇の花壇へ控え目な大きさのシンボルツリー(オリーブ)を植栽し、周囲をグランドカバーや空間でデザインし、スモールガーデンを構成しています。

立体的に見せるのが難しい低木やグランドカバーですが、砂利敷きとなった空間に比べれば背は高い存在に見えます。これにより小さな植物も浮き上がる様になり、花壇の中で3段階の高さが構成されます。

施工場所:玄関アプローチ横の花壇
環境:西向きの日向
植木:オリーブ(シンボリツリー)
低木や下草:マホニアコンフューサ・ゴールデンモップ・ブルーパシフィック・セキショウ

 

コニファーや下草を健全に育てる空間

空間を設けて低木や下草を植栽する

空間を設けて低木や下草を植栽する

小さな花壇であればついつい多くの植物を植えてしまいたくなりますが、こちらの様にほとんどを砂利やチップでマルチングし、最低限の低木や下草を植えるのもお勧めです。

どんな小さな木であっても、必ず成長して大きくなるものです。

この成長を健全に促す為に、予め周囲を広く空けておく事が有効になります。

成長過程においてもメンテナンスに追われる事も無く、マルチングのエリアからは雑草も生え難いものです。

花壇であれば特に、少ない数の庭木を大切に育てる方が景観維持をしやすい為、あえて植栽をしない空間を設ける事はおすすめと言えます。

施工場所:玄関横の花壇
環境:西向きの日向
植木:ソヨゴ
低木や下草:ブルースター・セキショウ他

 

④正方形の花壇を坪庭に見立ててデザインする

長方型の花壇には触れてきましたが、デザイン性が最も問われるのが正方形に近い形状の花壇です。

横並びのデザインだけを考えても全体が充実せず、奥行きによる死角が残ってしまう為です。

手の届きやすい植栽設計が重要

正方形花壇の場合は「花壇の中」である事を捨て去って、通常の庭づくりの様にデザインする事が望ましくなりますが、細長い花壇と違い、中央付近に手が届きにくくメンテナンスがしにくいというデメリットがあります。

そこで有効となるのが、花壇内の随所に空間を設けて、あらゆる場所へ手が届きやすくするというレイアウトです。

花壇の中に立体感を生む、坪庭風レイアウト

空間を作るという事は、植栽が無くても美しく見せるという目的があります。

同時に空間は植栽エリアへ日光と風を通し、視覚的にも広々とした印象をもたらします。

この様に敢えて「空間」をレイアウトする事によって植栽に模様が生まれ、デザイン性を高めてくれるのです。

花壇を坪庭に見立てたレイアウト

花壇を坪庭に見立てたレイアウト

こちらでは表玄関の左右2箇所に設けられた花壇を庭としてデザインしております。
植栽は坪庭の感覚で最低限に留め、自然石や砂利敷きによる空間を多く取っています。風通しも良く手も届きやすい、正方形の花壇にはぜひ取り入れたいレイアウト法です。

施工場所:表玄関左右の花壇
環境:西向きの日向
植木:イロハモミジ
低木や下草:マホニアコンフューサ・サツキ・玉竜他

 

空間レイアウトで踊り場を設けた管理のしやすい小庭

こちらはマンションの専用テラスに設けられた四角形の花壇へナチュラルなデザインを施しております。

花壇の高さが高く容易には立ち入る事が出来ない場合、メンテナンス性を考慮する必要があります。

こちらでは手前半分を砂利敷き空間する事で中へ入れる様にし、植栽エリアのメンテナンスをする事を可能にしました。

手前半分の砂利空間へ踏み込める設計

手前半分の砂利空間へ踏み込める設計

高さのある花壇への植栽であれば、小さな植木でも大きく見えるメリットがあります。
花壇の高さが1mであれば、1.2m程の植木で十分な計算です。

施工場所:マンション専用庭の花壇
環境:東側の半日陰
植木:イロハモミジ
低木や下草:ヒメシャリンバイ・マホニアコンフューサ・アジサイ・コクリュウ他

 

中央を歩けるように設計した植栽デザイン

こちらは花壇というにはとても広い、正方形の空間でした。

なので通常の庭の様に植栽デザインを施していますが、やはり大切なのは隅々まで手が届きやすいレイアウトを行う事です。

花壇の中央に空間を設ける

花壇の中央に空間を設ける

中央に空間を設ければ容易に立ち入って木々のメンテナンスを行える他、左右に植える庭木もボリュームのある樹形を選ぶ事が出来ます。

また、庭木が横並びになるデザインよりも、三角構図によって木々が見え隠れする自然な風景を作り出す事が出来ます。

中央空間はメンテナンス性と共に風通しや採光も確保する為、庭木の生育も良好かつ病虫害も起きにくくなるというメリットが生まれます。

正方形の花壇であれば立派に「庭づくり」を行う事が出来ますので、是非お住まいの顔となる様な空間を目指してみましょう。

施工場所:建物脇の正方形花壇
環境:東側の半日陰
植木:ヤマボウシ、エゴノキ、フェイジョア
低木や下草:マホニアコンフューサ、アベリア、プリペット、サルココッカ、キンシバイ他

 

⑤広過ぎる花壇でおすすめ。植木エリアと花壇を区分けする方法

花壇が広過ぎて、困ってしまっているケースはないでしょうか?

花壇の表面は土ですので、植物の無い場所から雑草が生えてきたり、日光で乾燥しやすくなったりします。また、その様な乾燥が常となりますと砂地と化して野良猫のトイレにされる事もしばしばです。

区分けしたい各所のレイアウト

広い花壇であればゾーンを分けて、
シンボルツリー
その他の植栽
グランドカバーエリア
ご自身でガーデニングをされる花壇
といったエリアを作る方法があります。

区分けを意識したレイアウトは遠目から眺めますとおしゃれな小庭に見え、ガーデニングを楽しむ花壇もきちんと設置されている、という様なイメージです。

区分けレイアウトによるスモールガーデン

区分けレイアウトによるスモールガーデン

こちらでは細長い花壇へシンボルツリーとその他の植木をレイアウトして小庭の様に見せ、ガーデニング用の花壇も2箇所、庭石組みで設けております。シンボルツリーとなる常緑ヤマボウシは大きめの木を植栽し、目隠しの役割も兼ねています。

施工場所:駐車場の中の花壇
環境:西側の日向
植木:常緑ヤマボウシ(シンボルツリー)・ソヨゴ・オリーブ
低木や下草:ゴールデンモップ・ウィルトニー・カレックス他

 

目隠しの庭木と2つの小さな花壇

目隠しの庭木と2つの小さな花壇

こちらの花壇も幅が5m程ありましたので、ご自身で草花を植えて充実させるのは困難と言えます。

花壇の後ろにあるリビング窓を目隠しする為、まずは枝葉の充実したソヨゴと常緑ヤマボウシを均等に植栽し、緑濃いプライベート感を確保します。

庭石は一見してランダムに見えますが、実は全て小さな花壇を形成する為にレイアウトされており、「石組み」として機能しています。

この小さな花壇であれば少しの草花でも美しく映える様になり、大きく持て余していた花壇も有効に活用しきる事が出来るのです。

施工場所:駐車場とお住まいの間の花壇
環境:南側の日向
植木:常緑ヤマボウシ(シンボルツリー)・ソヨゴ
低木や下草:マホニアコンフューサ・ローズマリー・カレックス他

 

⑥細長い花壇を活かし、色彩豊かな植栽を取り入れる

お住まい外壁沿いに広範囲に花壇が設けられているケースですが、延々と続く土スペースをどうしたら良いかお悩みになられる方も多い為、この様な花壇でのご依頼は多く戴きます。

もちろん植栽はせず化粧砂利によって仕上げてしまえばメンテナンスもかからずメリットはございますが、植木のレイアウトデザインを駆使すれば、お住まいに洋風テイストあふれる演出をする事が出来ます。

洋風花壇に合わせるシックな植栽デザイン

控えめなカラーの洋風花壇に合わせるのは、シックな植栽デザインがおすすめです。

花壇によっては素材そのものが目立つ事も多い為、あくまでも植栽との調和を図る事が有効になります。

レンガ花壇に合わせる植栽デザイン

レンガ花壇に合わせる植栽デザイン

シンボルツリーとなるソヨゴの葉色に合わせ、低木類も濃緑色の植物を選んでいます。

しかし樹形はそれぞれ異なる低木を選んでいますので、レイアウトが単調に見える事はありません。

色だけでなく、葉の形も異なる庭木を選ぶとさらに面白味も増しますので、植栽デザインを考える際は是非取り入れてみたい手法です。

施工場所:道路沿いの花壇
環境:南向きの日向
植木:ソヨゴ・常緑ヤマボウシ・オガタマ
低木や下草:マホニアコンフューサ・ピットスポルム・久留米ツツジ・這性コニファー他

広大な花壇へ施した色彩豊かな植栽デザイン

こちらではオリーブや常緑ヤマボウシの洋風植木、フェイジョアなどを均等にレイアウトしたうえで、明るい色を放つグランドカバーを植栽しています。お住まいの外壁がキャンパスの様な効果を生み出し、明るい色彩がより浮き上がって見えます。

長距離の花壇を洋風植栽で明るく演出

長距離の花壇を洋風植栽で明るく演出

施工場所:外壁沿いの花壇
環境:東向きの半日陰
植木:常緑ヤマボウシ・イチゴノキ・フェイジョア・オリーブ他
低木や下草:マホニアコンフューサ・オタフクナンテン他

こちらも同じく雨水の配管などの埋設の為に外壁沿いに組まれた花壇です。

外壁沿い花壇への洋風レイアウト

外壁沿い花壇への洋風レイアウト

こちらでは化粧砂利による空間も随所へ設け、色も様々な植木をレイアウトしています。花壇は通常のお庭よりも乾燥しやすい場所ですので、散水はしやすい環境を整えておく事がお勧めです。

施工場所:外壁沿いの花壇
環境:東側の半日陰
植木:常緑ヤマボウシ・ソヨゴ・フェイジョア
低木や下草:プリペット・ブルーベリー・アロニア・ヒメシャリンバイ他

 

⑦植木のカラーを統一して植栽の重厚感を出す

あえて植木のカラーを近いものに統一して、花壇の重厚感を演出する方法もあります。

この場合は特に緑色の濃い濃緑葉を持つ植木を選択して、お住まいとのコントラストを出します。
濃緑色はフェイジョアやソヨゴ、マホニアコンフューサやコニファー系グランドカバーなどの植栽で加える事が出来ますので、これらをお庭らしくレイアウトしたいところです。

お住まいがダークカラーもしくはホワイト系の場合に有効な方法ですので、迷われている方はご参考にしてみては如何でしょうか。

シンボルツリーと低木を濃緑色でまとめる花壇

こちらの花壇は目隠しを兼ねたフェイジョアを始め、濃緑色の植木でレイアウト。少ない植栽数でも重厚感を感じられる様になっております。

濃緑色の植栽で重厚感を感じる花壇

濃緑色の植栽で重厚感を感じる花壇

施工場所:玄関前と外壁沿いの花壇
環境:西向きの日向
植木:フェイジョア(シンボルツリー)・ブルーベリー
低木や下草:ギンバイカ・マホニアコンフューサ

 

こちらも玄関付近の花壇を濃緑色の植木でデザインしております。立ち木のソヨゴは玄関ドアの目隠しにもなっており、グランドカバーの色彩まで合わせる事でお住まいをよりシャープに見せる演出を致しております。

植栽の濃緑色によってシックにまとまった花壇

植栽の濃緑色によってシックにまとまった花壇

道路沿いの花壇という位置を考え、生長の緩やかな植木を使っています。歩行する方の御迷惑にならない植栽計画が大切です。

施工場所:道路沿いの花壇
環境:北側の半日陰
植木:ソヨゴ・ブルーベリー
低木や下草:ブルーパシフィック

 

濃緑色を持つ一種類の庭木を繁茂させる

同種の庭木で繁茂させた花壇

同種の庭木で繁茂させた花壇

花壇を緑あふれる景観にしたい場合、多種の庭木を寄せ植えする事はあまりおすすめできません。

これは必ず庭木には成長力の優劣があり、僅かでも剛健な方の庭木が弱い庭木に覆い被さってくるためです。

もちろんメンテナンスによってそれぞれの庭木の領域制限は可能ですが、庭木同士の隙間が常に空いている事になります。

植えの写真の様に単一品種の庭木によって花壇を繁茂させれば、お互いが成長して接触しても違和感のない美しさが生まれます。

これは生垣と同じ理論であり、同種の庭木であれば放任成長させても景観上の問題は起きにくいです。

緑溢れる花壇にしたい場合は特に有効で、写真のマホニアコンフューサの他、アベリアを使ったケースもよく見られます。

施工場所:道路沿いの花壇
環境:東側の半日陰
低木や下草:マホニアコンフューサ・カレックス・ブルースター他

 

植栽を違う種類ながら、葉色だけを統一した花壇

多種の庭木ながら葉色を統一した植栽

多種の庭木ながら葉色を統一した植栽

樹種を統一させて重厚感を出す例を挙げておりますが、時にはこちらの様に多くの樹種を使いながら葉色だけを合わせるといった手法もあります。

この手法は上品なナチュラル感を演出する場合に有効で、小さなナチュラル花壇をデザインする際にも行います。

少し山間の様な雰囲気を出したり、自然にそこで育っていたかの様な演出は、この様に色味を多く使わない方が自然に見えるものです。

華美な花壇になるのを避けたい場合には特におすすめの植栽レイアウトですので、ぜひご参考下さい。

施工場所:道路沿いの花壇
環境:西側の半日陰
植木:ヒメシャリンバイ・ビバーナムティヌス
低木や下草:マホニアコンフューサ・ブルーマウンド・サルココッカ他

 

⑧シンボルツリーと目隠しの植木を共存させる

花壇は「玄関に近い」というケースが多いです。
花壇の位置にもよりますが、可能な場合は玄関を植栽で目隠しする事が出来ます。

目隠しですと常緑樹を選ぶのが一般的ですが、やはり完全な効果を望むのは難しいところです。フェンス類ですと確実な目隠し対策となりますが、植木は枝葉の隙間もありますので、あくまでも見え難くするといったニュアンスで取り扱う事となります。

景観用の植木も添えて、より庭らしく見える花壇に

目隠し役の植木が決まりましたら、もう一箇所へシンボルツリーをレイアウトするのも良い景観を生み出します。
お住まいの引き立て役とも言える植木ですが、目隠しの常緑樹と合わせるなら、こちらは四季折々の表情を出す落葉樹がおすすめです。

シンボルツリーと目隠し植栽が共存する花壇

シンボルツリーと目隠し植栽が共存する花壇

こちらの花壇レイアウトでは、目隠し用のシマトネリコに加え、枝の柔らかなヤマボウシをシンボルツリーとして外壁沿いに植栽しています。2本の植木の間はブルーベリーやグランドカバーでまとめ、庭の様に仕立てています。

施工場所:玄関と駐車場に面する花壇
環境:東側の半日陰
植木:シマトネリコ・ヤマボウシ
低木や下草:ブルーベリー・ブルースター・サルココッカ・ヤブラン他

シンボルツリーと目隠しだけのシンプルレイアウト

シンボルツリーと目隠しのみでまとめたシンプルな植栽

シンボルツリーと目隠しでまとめたシンプルな植栽

モダン住宅に合わせるシンボルツリーとして、花壇(植栽スペース)へ樹高3m~のアオダモを植栽しています。

同時に、背後にある縦長スリット窓の目隠しとして、均整の取れた単幹樹形のソヨゴも植栽しています。

アオダモは下半分の枝葉が少ない樹形である事が多く、この寂しさを補助する為にも、常緑樹を合わせて植栽する事が有効です。

景観補助と目隠しという実用性を兼ね備えた、シンプルな植栽レイアウトと言えます。

施工場所:道路と駐車場に面する花壇
環境:南側の日向
植木:アオダモ・ソヨゴ
低木や下草:マホニアコンフューサ・スナゴケ

 

花壇を美しく見せるご要望にお応え致しております

如何でしたでしょうか。
花壇はその位置や形にもよりますが、実に様々なデザインで充実させる事が出来ます。
目隠しの植木、シンボルツリー、または本格的な造園をデザインするなど、可能性は多岐に渡ります。

花壇を綺麗に見せる植栽やデザインをご希望の際はお問い合わせ方法をご参照の上、是非お声掛けをいただければと思います。

他にも弊社による花壇を活かした植栽の施工例がございますので、併せましてご参考下さい。

 

執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)

執筆者:新美雅之庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。