今回ご依頼を戴きました横浜市N様邸には玄関ポーチを挟む様に2か所の花壇(植栽用スペース)が設けられており、こちらへの植栽デザインの施工させていただきました。
施主様が雑木好きという事もあり、今回はそれぞれの花壇へ野趣あるシンボルツリーを植栽の上、足元は自然味を感じるロックガーデン調に仕上げる事としました。

植栽施工前の様子
設けられていたスペースは花壇として使うには広く奥行もあり、植栽デザインを施す場合は「奥深いデザイン性」または「ランダムな自然感」のどちらかが適うのではないかと考えました。
中央にシンボルツリーをレイアウトして周りを低木で固める事は多く見られますが、寄せ植えであれば相応の剪定メンテナンスが必要となる他、地面がさらっとしていない状態は湿度も溜まりやすく、やはり低木の植栽は必要最低限の数で抑えたいものです。

シンボルツリーの山採りアオハダが揺れる景観
植栽デザインが施された花壇は植栽と割石・砂利エリアのバランスを考慮し、緑が充実していながらもすっきりと清潔感を感じられる様にしております。
低木の数は最低限ですが、三角構図を取ってポイント毎にデザイン充実を図っており、賑やかな寄せ植えアレンジに見える構成です。
華奢で伸びやかなアオハダはしばらくの間放任して成長させ、横方向の広がりをもっと美しく育てる予定です。
アオハダは1本幹で下半分が寂しく見える為、アロニア(セイヨウカマツカ)を副木として添える事で景観補助としています。
アロニアは綺麗に紅葉する確率が非常に高く色も鮮やかな為、この様なポイントとしてレイアウトしますと季節感を得るのに非常に有効です。

事由に枝を伸ばすシンボルツリーのアオハダ
山採りらしい風情を醸し出す、アオハダの樹姿。
近年はアオダモの方に人気が集中していますが、アオハダの枝模様はそれこそ里山らしい姿を持ち、広がり感を持つ個体に巡り合いますと非常に美しい樹形を見る事が出来ます。
華奢なまま樹高を上げているのはアオダモと共通しますが、雨濡れによって枝や幹が曲がってくる度合いがアオダモより低く、樹姿は柔らかいながらも丈夫な骨格を持ちます。
また根の成長と共に葉が厚く色も濃くなり、これに連れて強い直射日光への耐性も増してくれます。
多くの山採り雑木が夏の直射日光を苦手としますが、アオハダを上手く育てると非常に頼りがいのある強い木になってくれます。

ランダムに散らした低木レイアウト
シンボルツリーとサブツリーを除けば、植栽されているのは常緑ガマズミ類やナリヒラヒイラギナンテン、シャリンバイの仲間等4株の低木と下草だけというシンプルな構成です。
それでも寂しい景観に見えないのは要所を決めたレイアウトであり、無駄なく緑を添えるというデザインは植栽管理の負担も軽くなり、風景そのものが軽やかに見える様になります。
そもそも近年はシンボルツリーも軽やかな雰囲気が好まれますので、地面のデザインも「抜け感」を取り入れた方がバランスも良くなります。

石の立体感と植栽の自然繁茂を楽しむ
ナチュラルなロックガーデンを表現するに、今回は割石や砂利を3種類用意してレイアウトを行っています。
中央の大粒から始まり外側へ下るにつれて粒径が小さくなる動きは、水の流れを表現する枯山水技法にも通じます。
砂利だけで仕上げられた「平面」とは異なり高低差も生まれ、構図全体に動きが生ずるという手法です。
これら割石(割栗石)によるレイアウトの中から、まるでそこから自然に映えてきた様なレイアウトで低木・下草を植栽し、石の硬さと植栽の柔らかみを融合させる事でナチュラル感が生まれます。
この手法で表現するナチュラルロックガーデンにおいては植物の葉色で明るく見せる必要はなく、緑色・薄緑色の葉だけで十分に美しい景観を楽しめます。

割石・砂利と植栽の面積比
真上から眺めると、植栽エリアは非常に限定されている事が解ります。
マホニアコンフューサは将来的に1m程の高さまで成長させ、道路から眺めた際に雨水管が見えなくなる様な計画です。
面積が広くない道路沿いスペースに植栽デザインを施すケースは主流となっていますが、重要なのは生育を見越した植栽計画であり、それ以前に「乾燥しやすい場所でも耐え得る剛健種」を上手にレイアウトする事が大切です。
剛健種はそのほとんどが生育旺盛であり、これに対応する為にも植栽数は最低限とし、成長余白空間を確保しておくのがお勧めと言えるでしょう。

システム門柱が備えられた植栽用スペース
もう一つの植栽用スペースは玄関ポーチを挟んだ反対側に位置しており、システム門柱も備えられています。
こちらは背後に窓があるというのが大きな違いであり、しっかりとした存在感を持つ植栽と適度な目隠し効果が求められます。

自然味を残されたソヨゴをシンボルツリーに
こちらのシンボルツリーはしっかりとしたディテールを持ちながら透け感も残されたソヨゴの株立ちを植栽しており、玄関アプローチの入口らしい賑やかな印象に。
窓に対しての軽い目隠し効果も持たせておりますが、ソヨゴは緩やかな生育ですので即時窓へ干渉する事も無く、柔らかみを持った透け具合により風通しを阻害する事も有りません。

門柱直下は植栽を行わず割石の飾り付けを
またシステム門柱直下へは無理に植栽を施さないのがお勧めで、この様な位置は剛健種であっても生育不良が懸念されます。
やはり構造物の直下は雨も当たらないという事で乾燥具合が激しく、むしろ割栗石や砂利によって地面をカバーし、泥跳ねによる汚れを防ぐ事を最優先するのが良いでしょう。

アオハダ側と共通させたナチュラルロックガーデンスタイル
地面のデザインは先程のアオハダ側と共通させたデザインであり、こちらも剛健且つ最低限の数の低木を植栽しています。
割石の大きさの違いがしっかりとした高低差を生み出し、最終的な敷砂利はきちんと地面を削り取ってから施工する事でコンクリート土間面とのフラット感を出します。
しっかりとした地均し整地は砂利敷き面の美しさを左右し、この様に施工を行っておけば砂利の散らかりが起こる事も稀です。
剛健低木であるマルバシャリンバイはやや生育の大人しい面があり乾燥に強く、春には開花を楽しめます。
艶やかで丸みを持った葉は周囲の雰囲気を和ませ、厳しい環境下でのナチュラルガーデンデザインに重宝する存在となっています。












