今回は市川市K様邸の玄関アプローチにおける、自然味あるナチュラルガーデン作りの様子をご紹介致します。
お庭施工前の玄関アプローチ部
玄関アプローチそのものは平板によって作られており、平板部以外は土仕上げとなっている状態でした。
長細く見えるスペースですが、実際の土面積はお庭づくりに十分な広さを持っており、デザインの自由度は決して低くはございません。
今回はこちらのスペースを活かし、自然の中にお住まいが佇む様な風景を考えさせていただきました。

竹林との境界の危険な高低差対策として、ウッドフェンスの施工。平行して園路飛石の据え付けを行います。

ウッドフェンスの柱位置の測定 柱を埋め込む穴を掘削
ウッドフェンスの全長は、無駄なく資材を使い切る目的も含めまして約4mに設定。丁度お庭の角から建物陰へとウッドフェンスが施工されるサイズとなり、お庭のスクリーンとしても適しております。
ウッドフェンスの全長から柱位置を割り出して測定のうえ、埋め込み穴を掘削します。

ウッドフェンスの柱を立て入れ、コンクリートによって垂直固定します。

埋め込まれたウッドフェンスの柱
それぞれの箇所へ垂直に据え付けを行った柱の様子。今回もウッドフェンス材は樹脂を多く含みささくれも起こり難いイタウバ材を使用しております。強固ながら加工性にも優れ、頑丈な材に致しましては軽量と言えます。

お庭の園路となる鉄平飛石の位置を、仮置きを繰り返して決定します。

飛石は仮置きを繰り返して配置を決めます
玄関土間から降り立つ部分には御影石の踏み石を設置。くつぬぎ石の様な作りながら、適度に小さく作られたものです。ここからお庭の角やお住まい裏手へ続く園路を確保する為、飛石を何度か仮置きを繰り返して配置を決定します。

隣接面の相性を重視した飛石の配置
飛石は自然に左右に振られる様な景を意識しつつ、合わせ面の相性を重要視する事が大切です。
窪みやカーブの形状が合致するものを選んで隣同士に配置し、かつ緩やかに曲げる事が出来る組み合わせを繋げていきます。
飛び石は実際に歩く事よりも園路自体を庭風景として眺める事の方が多い為、石組み同様に景観物として施工する事が必要です。

ウッドフェンス天端材の打ちつけ
ウッドフェンスの笠板材を打ち付けます。笠材一つで重厚感を出す事も出来ます。今回のウッドフェンスは目隠しの為の物とは大きく異なりますので、風通し良く板材の隙間を広く設けております。

飛石園路の据え付けとウッドフェンスの施工を終えた様子です。

ウッドフェンスと飛石園路の様子
飛石の据え付けとウッドフェンスの施工を終え、お庭らしさが出てきた様子。風通しも日当たりも全く妨げないウッドフェンスは、背後の竹林を美しく引き立てます。

お庭の軸となる水鉢を据え付け、骨格となる雑木類を植栽します。

園路の終着点に水鉢をセット
先ほどの園路の終着点には割り石の姿を残した水鉢を据え付けます。御影石などの手水鉢とは異なり自然そのままの姿が残った水鉢は、水が自然に溜まった様な雰囲気でお庭に溶け込みます。

水鉢に寄り添うヒメシャラ、コハウチワカエデの植栽

水鉢の左右の植栽
水鉢はお庭の軸ではありますが、お庭の中の一風景として溶け込ませたいもの。今回はナチュラルガーデンらしく水鉢を雑木類が優しく寄り添う風景を作ります。ヒメシャラに加え、玄関付近には枝葉の少ないコハウチワカエデを添えます。

ヒメシャラに添えるアロニア
ヒメシャラの下部をより雑木林風に見せる為、アロニアを寄せ植えします。自然に混生してきたかの様な向きや角度が重要視される植栽となります。

お庭の最奥部には太めの幹を持つアオハダを植栽

お庭の角を引き締めるアオハダ植栽
お庭の最奥部には背も高く太目の幹を持ったアオハダを植栽。これにより遠目よりお庭を眺めても、最奥まで雑木のある庭景色を望む事が出来ます。遠目からの眺めはそのまま「雰囲気・印象」に直結致しますので、都度確認しながら施工を行う事が望ましくあります。

お庭の第一印象を担う、迎え入れのアオダモを植栽します。

玄関に寄り添うアオダモ
敷地外から最も良く見える位置にはアオダモを植栽します。お住まいからお庭へ傾いだ印象の木を、樹形・サイズ共に吟味して植栽しております。下枝はほとんど持たず、目線の高さには美しい幹のみが存在します。枝葉の少ない雑木類の植栽は、傍まで歩行部分として確保できるメリットがあり、大きな木を植えても決してお庭が狭くなってしまう事がございません。

お庭のリズムと輪郭を決める、景石とエッジラインを施工します。

自然感とリズムをもたらす石
今回の石配置は「見せる石」とは異なり「溶け込ませる石」としての扱いとなります。ですので石の表情も天端水平や安定感には拘らず、雨に削られた表情や転がって落ち着いた様な風合いを見付けてそれぞれを配石していきます。もちろん遠目より眺めた際に石が直線状に並ぶ構図は避け、植栽と同じくランダムなリズムを意識していきます。

植栽と砂利部分を分け、デザインそのものを形成するエッジ材を設置します。


ポリエチレン製のエッジ材を曲げつつ、お庭のデザインを意識しながら設置していきます。1ヵ所ずつ意識をし過ぎますとそれぞれが独立した曲線になってしまいますので、あくまでも全体デザインを統一する事を心掛けたライン取りを行います。

下草類や苔の植栽と砂利の敷き込みを行います。

ハイゴケ類の張り付け
土壌に自然な高低差を付け、土を改良しながら苔を張り付けていきます。ハイゴケ・シノブゴケ・コツボゴケなど、植栽箇所に応じて種類を分けております。


アオダモの足下を自然に見せるシノブゴケと下草類。手前のリュウノヒゲはよく見掛ける植物ではございますが、剛健で環境適応性に優れており、適度な量の植栽を行えば良い景観が維持できます。


低木雑木のオトコヨウゾメに合わせたエッジラインが、砂利と苔を明確にデザインします。アップライトは砂利側に移設し、泥はねの心配もございません。砂利はあえてシックなカラーとし、砂利自体が目立たない様にしております。


既存平板周辺は砂利と苔を使い分け、自然の中の遠路の様な雰囲気に仕立てます。

水鉢周りは雑草対策として入念に簡易舗装を行います。


エッジ材によってデザインが固まった水鉢周囲へ、簡易舗装(固まる土)を施工していきます。細かでカーブ状になった場所は防草シートの効果が得られ難い為、細かな部分まで舗装を行います。


固まる土による舗装が完了し、形の整った水鉢周り。舗装を養生したうえで、砂利敷きによって仕上がりとなります。

完成したナチュラルアプローチガーデンの様子です。

完成したナチュラルガーデンの様子
完成したナチュラルガーデンの様子です。ウッドフェンスと竹林を背景に、自然な雰囲気のお庭となりました。限られた面積の中でも様々な植栽と資材が交差して自由な動きが感じられますが、それぞれが全て統一した雰囲気として融合します。

こちらのお庭につきましては、お庭の施工例-竹林を借景にするナチュラルアプローチガーデン-市川市K様邸にてご覧戴く事ができますので、併せましてご参考下さいませ。

それでは失礼致します。