梅の剪定と言いますと、剪定鋏で成型的に整えられた姿を想像される方が多い事と思います。
特に若い梅の木は、剪定の際に太い枝を残してそこから枝を出させ、年月をかけて形付けていきます。

古く、形の出来上がった梅の木ですと、太枝は全て外し小枝のみを残す仕上げが出来ます。

剪定の際に残された梅の枝は、年々必ず太くなり、確実に全体像を形付ける存在となります。
ですので、逆に将来樹形を乱すであろう「不要な枝」は早々に外しておかなければならないと言えます。
外すのが早いほど、周りの小枝の成長を促進できますし、切り跡も小さく済みます。

今回は古い木とは言えない、やや若い梅の剪定です。

剪定前の梅の懐部

この様に懐(幹周り)が非常に混み合っています。
葉が出る季節となれば更に密生した環境となってしまいます。

梅など、特に成長力が強い樹種は、不要な枝が幹周りから直接伸びだすケースがとても多いです。
幹から直接伸びだした枝の成長スピードは極めて速く、肝心な小枝よりも優先して長くなってしまいます。
強い枝で年間1.5メートルも伸びる事もあります。
同様に根元から伸びだした枝も、見つけ次第元から絶ってしまいましょう。

基本的には幹周りをスッキリさせる、という所でしょうか。
これだけで幹の模様(曲がり)と枝ぶりが良くわかり、見栄えが美しくなります。
幹周りに風が通るだけで、木には良好な環境となります。

懐の枝を外します

この様な、幹周囲から育って太くなってしまった枝を、取り払っていきます。
樹形を気にする以前のプロセスですので、幹周りの整理に集中するのが良いでしょう。
この様な枝は、絡み合ってしまうのはもちろん、発生部よりも遥か上段の枝を突き抜けていってしまいますので、綺麗に元より外す事が望ましいです。

幹周りをすっきりさせてから初めて小枝の剪定に着手します。
小枝は成長が早くない為、樹形を乱しているケースは少ないものです。
仕立物らしさを出したい場合は、刈り込み物の様なラインで切り揃えると良いです。
自然味を少しでも残す場合は、太枝・枯れ枝以外は手を付けなくても良いかもしれません。

剪定をした梅の姿

今回は不要な枝の処理に念頭を置き、小枝部分はほぼ手付けず、と致しました。
花を楽しむ直前のため、枝先まで蕾を残しております。
きっちりと形を成型せずとも、不要な枝を外すだけで上品な姿になる事がお分かりいただけると思います。

お庭に梅があり、ご自身での剪定に悩んでいられる方は参考にしていただきたく思います。

それでは失礼致します。