生垣の役割と構造-おすすめの生垣18種類と助成金の活用法

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こちらのページでは、私もこれまで多く作ってまいりました「生垣」について、役割、メリットや注意点の解説に加え、花・樹高・剛健さ等のテーマ別におすすめな生垣の種類もご紹介します。

生垣とは?

生垣とは?

生垣(いけがき)は文字通り「生きている垣根」という意味で、生きている木を並べて植えて垣根(境界)としたものです。

生垣は1種類の苗木を横一列に並べて植え、成長させて壁の様に仕立てる事を想定しており、苗木を植える際は丸太と竹で作った骨組みへ結束して固定します。

生垣が持つ役割の多くは「境界線」であり、近年では敷地と道路、庭と駐車場、庭の中の区切りとして生垣を設置するのが一般的です。

生垣の高さは80cm~1.6m辺りとする事が多いですが、高垣と呼ばれる生垣は数mの高さで維持され、ブロック塀やフェンスなどでは対応出来ない部分を補います。

生垣の樹種は目的や楽しみ方で選ぶ事が出来ますが、どんな樹種でも生垣に出来る訳ではなく、生垣に向いている庭木の種類自体は限られていますので注意しましょう。

生垣の特徴とメリット

フェンスやブロック塀とは異なる生垣は、独自の特徴やメリットを持っています。

どんな事が挙げられるのか、簡単に解説をしてまいります。

圧迫感が少ない

庭木を一列に並べて生垣に

生垣は使う庭木によって見た目も異なり、それぞれ高さや幅も様々に仕立てる事ができ、設計自由度も高いです。

目隠しや侵入防止に必要である最低限のサイズで設計する事により、生垣はフェンスよりも軽やかな存在にもなります。

きちんとしたメンテナンスによって維持すればブロック塀に比べて圧迫感は少なく、植物の姿によりナチュラルな景観になります。

街の景観向上に貢献

活きている緑が壁となる生垣

生垣は、存在感や管理方法も目隠しフェンスとは異なります。

木の枝葉が壁となる生垣は、フェンスの板材では表現が出来ない美しさを持っています。

しっかりと管理された生垣はお住まいを際立たせる程の存在感があり、住宅街でも目を引く存在になります。
これは単に植栽された庭木と比べ、生垣は緑色を見せる面積が非常に広い事が要因です。

この為、町内会や自治会が生垣の設置・管理を推奨している地域もあり、生垣が持つ景観向上性の高さが伺えます。

これに伴い、自治体によっては生垣の設置費用の一部を助成金として交付してくれる「生垣設置助成金制度」がありますので、こちらも大いに活用したいものです。

関連記事>>>生垣の価格や費用はどう決まる?生垣設置助成金の活用例も解説します

防犯・安全性

境界線や目隠しという目的だけを考えれば、生垣もブロック塀もフェンスも同じカテゴリーに属する訳ですが、生垣には防犯面や安全性に関係する独自のメリットがあります。

防犯面でのメリット

生垣の防犯上メリットして、実は塀やフェンスよりも乗り越え難いという点が挙げられます。

乗り越え難い生垣の構造

生垣ですと横向きに竹が2段設置されている事が通常であり、特にある程度成長をした生垣は木をかき分けてまでこれを乗り越えるのは困難となります。

また、樹種によっては掻き分けようとして枝が接触すると痛みも感じます。
ですので生垣として柑橘類やピラカンサス等の有刺植物を多く利用していた時代もある程です。

また、生垣をかき分けて入ろうとすれば枝が折れたり葉が揺れる音が発生しますので、これも防犯面では心強いのではないでしょうか。

音もたてずに一瞬で乗り越えられる塀やフェンスに比べると、意外にも生垣の防犯効果は高い事が解ります。

生垣が持つ安全性

防犯面とは異なり、生垣は安全性でも優れた点があります。

かつて民家が簡素な木造造りであった時代は、火災が起きると消し止める事はほぼ出来ず、如何に延焼を抑えるかが重要視されていました。

生垣は生きている木、いわゆる生木である事から、火と接触しても直ちに消失はせず、白煙を上げて延焼時間を遅らせる効果があると認識されてきました。

また、生垣はブロック塀と異なり地震が起きても「倒壊」をしないという点があります。

強風の災害で傾いてしまったりする事は考えられますが、倒壊・直撃による被害を考えますと、ブロック塀と比べて安全なものと言えます。

生垣で注意したい点

生垣の持つメリットを紹介しましたが、逆に生垣設置については知っておいた方が良い点、注意したい点もありますので、ここでは順番に解説をしていきます。

生垣は定期的な「刈り込み剪定」が必要

生垣の刈り込み作業

生垣の設置を検討するにあたり、必ず定期的な刈り込み剪定が必要である事は認識しておきましょう。

同じく目隠し対策として挙げられるフェンスや人工竹垣であれば拭き掃除程度のお世話で十分ですが、生垣については年に1~3度の刈り込み剪定という維持作業が必要です。

刈り込みを怠ってしまうと生垣はみるみる成長し、道路や隣地へ越境してしまうものです。

さらに一度極端に伸ばしてしまった生垣は元の方の葉が無くなっており、慌てて刈り込みをしたら葉が無くなってしまった、というのも良くある事です。

生垣の刈り込み作業はDIYでも可能ですが、ご自身での作業を前提とする場合は生垣の高さを低く設計しておく事がおすすめです。

刈り込み作業を業者様へ依頼する場合でも、これは維持管理費として予め想定しておく事が望ましくあります。

刈り込み頻度が高い程、美しい仕立てに

生垣は年に一度の刈り込みでも維持は出来ますが、刈り込み回数が多い程、確実に仕立ての美しさ・完成度が変わってきます。

生垣の刈り込みは決して楽な作業ではありませんが、ご自身でのメンテナンスの成果が明確に表れる事になりますので、芝刈りと同じくやりがいのある作業と言えます。

庭木のお世話がお好きな方であれば、生垣の手入れは楽しんで行っていただけると思います。

虫の発生には特に注意が必要

普通に植えられた庭木でも害虫の発生には気を付けなければなりませんが、生垣の場合は特に予防的対策(農薬散布等)が必要になります。

生垣は同じ種類の庭木が並んで植わっている為、どこかに害虫が発生すると広範囲にわたって被害が広がりやすいからです。

特に生垣は壁状である為に「裏側」の風通しが悪いケースが多く、これが害虫の発生の原因になりやすいのです。

肌に触れると毒毛に刺され強い痛みを感じる「イラガ」は刈り込み作業中に刺される事が多く、発生する可能性の高いレッドロビンやモチノキ、カシ類の生垣では予防の農薬散布が必須です。

生垣で最も注意したい毛虫が「チャドクガ」であり、ツバキや寒椿、サザンカの生垣で発生します。

直接毒毛に触れなくても「抜け殻」が風で飛散し、肌に付着すると湿疹・かぶれを引き起こします。
これを掻いてしまうと驚く程に症状が悪化しますので、心当たりのある場合はきちんと皮膚科を受診の上、薬を処方してもらいましょう。

生垣設置を避けたい場所

比較的設置場所の自由度が高い生垣ですが、おすすめ出来ない場所もあります。
生垣づくりのをご検討の際はご注意下さい。

隣家との境界線

生垣の背後にブロック塀がある場合は良いのですが、生垣そのものを隣地境界線として扱うのはおすすめ出来ません。

ご自宅側の刈り込みは容易に行う事が出来ますが、隣家様側の枝は刈り込む事が出来ません。

生垣は想像以上に刈り込む機会が多いものですので、設置の際は剪定作業のイメージも同時に想像しておくのが望ましくあります。

どうしても境界線へ生垣を作る場合は、お隣側の刈り込みを行えるだけの踊り場(50cm前後)を空けておく様にしましょう。
また、刈り込み時にお隣側へ入ってもよろしい許可を戴いておく事も良いでしょう。

擁壁沿いへの生垣設置

擁壁沿いの生垣設置は避けましょう

擁壁は高い場所の崩れを防止する壁ですが、お住まいによってはこの擁壁が境界になっている事があります。

擁壁沿いに生垣を作りますと、明るく陽が差す外側へ伸びていく傾向が特に強くなり、内側との生育度のギャップが生じやすくなります。

また、外側の刈り込みを行う事は極めて危険であり、内側から刈り込めたとしても下へ枝葉が大量に落ちる事になります。

この様な場所へ生垣を設置する際は、年に一度でも高所作業車を使う植木屋・業者様への剪定依頼を行う事が必要です。

目的別に見る生垣の形

単純に「緑の壁」とも解釈される事もある生垣ですが、目的や用途によって「樹種や高さ」等の設計面も変わります。

ここでは生垣の形を4つの目的に分けて見てみましょう。

目隠し対策の生垣

生垣の目的として最も多いのが、目隠し対策です。
綿密に壁状に仕立てた生垣は、目隠し効果も非常に高い存在です。

目隠し用の生垣は高さも距離もある事が多く、葉の数も増やしたり枝の更新も必要になる事から、最もメンテナンスが重要な生け垣であり、刈り込みの頻度も高いです。

生垣としての姿は多くが樹高1.6m以上あり、目隠しの目的から完全に壁の様になります。

目隠し効果を維持する為にも、成長期に2~3回の刈り込み作業が必要となる事を、予め維持計画として盛り込んでおきましょう。

境界線としての生垣

境界としての低い生垣

敷地境界線として道路沿いに生垣を設置する事は多いです。

あくまでも境界を示す為の生垣であればさほど樹高も必要なく、おしゃれな壁として景観面の向上にもなります。

背の低い生垣は手入れをしやすいのがメリットで、最も手の掛かる生垣天端面の刈り込みも簡単に行う事が出来ます。

多くの方の目に留まる生垣ですので、和風・洋風等、お住まいに合わせて樹種をセレクトしてみましょう。

敷地内でアクセントとする生垣

アクセントとしての生垣

敷地境界の場合と異なり、ご自身の敷地内で生垣によるゾーン分けを行うケースもあります。

これは境界とは異なりお庭のアクセントやゾーニングとしての役割であり、生垣の高さも低く設計するのが基本です。

むしろ敷地内の生垣は出来るだけ低くしておきませんと、周囲への陽当たりや風通しの妨げになってしまいます。

後にご紹介する低木生垣用の庭木を選んで使うのが良いでしょう。

スクリーンとしての生垣

落葉樹のスクリーンとしての生垣

単純に枝葉の少ない落葉樹を植えた際、なぜか存在感が希薄に感じられてしまった事はありませんか?

そんな時は写真の様に、背後へ生垣を設置する事で、手前にある落葉樹の存在感を引き立てる事が出来ます。
例えますと緑のキャンパス上に枝葉が浮き上がる様なイメージでしょうか。

この場合は特に緑濃い樹種を選ぶと効果的で、代表種としてはマサキや寒椿、キンメツゲやマキ類が挙げられます。

この様なスクリーンとしての生垣を取り入れれば、アオダモやコハウチワカエデ等、特に枝葉が少ない落葉樹も存在感を感じられる様になります。

生垣に向いている庭木とは?

庭木として扱える樹種はたくさんありますが、生垣として使いやすい樹種は限られてきます。

では生垣用として使える庭木には、どんな特徴が求められるのでしょうか?
ここでは5つに絞って見てまいりましょう。

①生垣用の苗木が流通する樹種

まず生垣作りの大前提として、「生垣用」としての苗木が生産・流通している樹種を使う事が必要です。

生垣用として生産された植木

生垣用として使う苗木は細い1本幹で左右均等に枝を育てた形となっており、これが最も生垣作りに向いた木と言えます。

この様な樹形の苗木であれば生垣として均等な配置で植栽をする事ができ、バランスの良い仕上がりとなります。

また、成長後の姿を考えても生垣の植木は均等間隔で植えるという事が前提となりますので、根鉢の小さな木も生垣向きと言えるでしょう。

②ある程度の成長力を持つ木

普段は敬遠されがちな庭木の「成長力の強さ」ですが、生垣についてはある程度の成長力も必要とされます。

生垣は設置直後の枝葉の少ない状態から成長をさせ、緑の壁を作っていきます。
この為ある程度の成長力は生垣整形の為にも必要であり、強い木が求められます。

成長力が特に強い生垣樹木

  • カシ類(シラカシ・アラカシ・ウバメガシ)
  • ヒイラギモクセイ
  • モチノキ
  • レッドロビン

生垣は年に何度か刈り込みが行われ、そこから再成長する力が必要である事を認識しておきましょう。

しかしながら生垣の設置場所によっては、成長の緩やかな木が必要とされる場合もあります。
駐車場沿いや道路沿い等、毎年の越境に悩まされてしまう様な場所においては、伸びの緩やかな木を使って生垣を作ります。

成長が特に緩やかな生垣樹木

  • キンメツゲ
  • ヒメシャリンバイ
  • チャボヒバ

これらの樹種を使う場合は、既に枝葉がある程度充実している状態の木をご用意する事で、生垣完成直後の目隠し効果も保てる様にしております。

成長の遅い木を使って生垣を作ると壁状に仕立てるまでに時間は掛かりますが、さほど手間が掛からない生垣にする事が出来ます。

③枝葉が細かく高密度である木

生垣は「目隠し対策・遮蔽物」としての実用性が必要となりますので、使用する庭木は遮断性の高い樹種である事が求められます。

高密度の枝葉を持つキンメツゲ

葉数が多く密度も高い庭木は小さな葉を持つ事が多く、写真のキンメツゲは最も強くこの条件を満たします。

生垣にとって必ずしもこの葉密度が必要な訳ではありませんが、壁状に育てる事を計画する場合、通常は小葉性の庭木である事が条件となります。

葉の小さな生垣用庭木の代表種

葉が小さく、なおかつ枝振りも繊細で庭木としては、

  • キンメツゲ
  • ヒメシャリンバイ
  • ボックスウッド
  • トキワマンサク

等が挙げられます。

④刈り込みに耐える、萌芽力の強い木

生垣の手入れはほとんどが刈り込みという剪定方法で行われます。
刈り込み鋏という刃の長い鋏を用いて一気に切り揃える様なイメージで行われ、枝はもちろん葉も裁断される形となります。

刈り込みにおいては葉の裁断の他、切り口に葉が無くなる事がほとんどですので、この様な過酷な刈り込みを行われても傷まない強さも条件となります。

生垣の刈り込みは「幅や高さを切り戻す」だけが目的ではありません。

壁として美しく育て上げる為に枝を増やし、それに伴って葉の数も増やす事に意味があります。

枝分かれをする萌芽力

庭木は枝を切られると、必ずそこから新しく芽が生まれます。
この際、一か所の切り口から複数の芽が同時に現れる事で、切り口からの枝分かれが発生します。

この枝分かれを繰り返させている内に枝の数も増えていき、結果として葉の数も多く仕立てる事が出来るのです。

つまり切り口からの萌芽力が強く、新芽もたくさん出してくれる庭木が生垣に適している事になります。

⑤「薄い生垣」を作れる木

生垣は刈り込みを繰り返しながらサイズ感も維持していく必要がある為、幅が膨らみやすい木は生垣向きとは言えません。

下の写真の様に、生垣の裏側は通路として活用したい場合も多く、そもそも生垣自体の刈り込み作業の踊り場としても空間が残っていなければなりません。

インターネット上で生垣向きの木として紹介される木も、本来は単独で植える事に向く木が多く含まれており、これらは生垣と言うよりも「列植」といった位置付けで考えておくのが無難です。

これは生垣という存在である以上、ある程度「壁状」の形を維持する事が必要な為であり、目隠し用の庭木とは切り離して考えなくてはなりません。

もちろんどんな木でも幅は広くなってきますが、生垣であれば幅60cm以内に抑えたいケースがほとんどです。

これらを踏まえ、生垣は樹種さえ慎重に選べば、いわゆる「薄い生垣」を構成する事も十分に可能です。

写真のカンツバキやラカンマキ等は特に薄い生垣を整形する事ができ、特にラカンマキは毛虫の害を受けにくく環境適応性も高いのが特徴です。
※ただしアブラムシには注意

大型の生垣であればともかく、規模の小さな庭であれば、時にはこの薄いサイズ感で抑える必要もありますので、一応のご参考としておくのが良いでしょう。

それでは下からは生垣の樹種のご紹介をしてまいります。

花が咲く生垣5種類

生垣に花が咲く様は実に見事で、生垣全体が花となる景色が楽しめます。

しかし開花期は限られた期間でありますので、通年目にする枝葉の雰囲気で選んでおくのも良いでしょう。

トキワマンサク

トキワマンサクは小さな葉が密生する庭木で、別ページではシンボルツリーとしてもおすすめしております。
紅花と白花の木が存在し、葉色も雰囲気も違う庭木に見える程に異なります。

ベニバナトキワマンサク

全体が紅色に染まるトキワマンサクの生垣

トキワマンサクが生垣として流行するようになったのは実は近年であり、それまでは刈り込んだ1本立ちの仕立てが主流でした。

5月に咲く花は数も圧巻で、紅花のトキワマンサクは特に蛍光色とも取れる鮮やかな紅色で、発色が良い花木と言えます。

白花トキワマンサク

白花のトキワマンサクは葉色が涼し気な黄緑色で覆われているのが特徴で、花よりも葉の美しさが際立ちます。

白花トキワマンサクの花

ベニバナトキワマンサクの生垣は重量感がありますが、こちらの白花種であれば幾分軽やかな雰囲気である為、花の生垣を長距離に作りたい場合はおすすめ出来る庭木です。

成長傾向と管理方法

トキワマンサクの生垣

トキワマンサクの成長力は旺盛で、特に仕立てが整った頃からは毎年の枝の走りが50cm程に達します。
刈り込み維持としてはこれらを綺麗に取り除き、小枝を刈り込んで整形するスタイルとなります。

花が終わると細い花弁がたくさん落ちますので、この掃除が少々大変かもしれません。

その他は病気や害虫も寄せ付けにくく、根付いた後は乾燥にも強い庭木です。

カンツバキ(寒椿)

カンツバキ(寒椿)は文字通り寒い季節に咲くツバキという意味合いがあり、生垣として古くから庭園に取り入れられてきた庭木です。

カンツバキの生垣:開花期11~2月

11~2月の寒い時期に花を見せてくれる庭木は重宝する上、小さな葉が密生する事で目隠し効果も高く、寒椿は生垣として非常に優れています。

花はツバキよりも小振りで、花付きも良く生垣全面に咲いてくれます。

生育的には陽当たりの良い場所から日陰まで広く適応する庭木で、初期の乾燥さえ気を付ければ丈夫に育ちます。

陰樹の特性を活かした生垣とは?

日陰に対応できる生垣樹種の優れた点は、日の当たりにくい生垣裏側の葉も健康に保てる点にあります。

一般的に陽を欲しがる木の生垣は、表と裏の葉密度が異なっている場合が多く、裏側(敷地内側)から眺めると幹しか見えない、という事がよくあります。

しかし耐陰性を備えたカンツバキの樹種の生垣であれば、裏側も葉の充実した生垣になりやすいメリットがあります。

チャドクガに注意

ツバキ科の植物が避けて通れない課題として、チャドクガの発生の予防があります。

最後に必要に応じて軽い刈り込み~剪定で枝を軽く揃えましょう。

生垣の場合は特に懐や裏側に風が通りにくい為、発生からの広がりが早い傾向があります。

梅雨明けを目処に、殺虫剤の散布を予防として行う事が基本で、発生したら散布する、という形はおすすめ出来ません。

チャドクガが発生して抜け殻を残してしまいますとそれが宙を舞って湿疹の原因となりますので、とにかく発生をさせないという心掛けが大切です。

成長傾向と管理方法

カンツバキの生垣は全体的に膨らむ様に成長し、強い枝が毎年走る様な事は少ないです。

この為年に一度程度の刈り込みでも維持していく事が可能で、刈り込み後の萌芽力にも優れています。

この特性を活かし、寒椿の生垣はやや強めの刈り込みを行う事がおすすめです。
強い刈り込みの方が綺麗な整形が可能な上、刈り込みを繰り返しながらも段々と大きく膨らんでくる事を避けられます。

オオムラツツジ

オオムラツツジは街路樹や公園樹としても植栽される程、剛健で強い庭木です。
刈り込みに最も強いツツジ類として、生垣としての植栽が多く見られます。

オオムラツツジの生垣:開花期4~5月

花の咲く生垣として優秀で、葉の多さや萌芽力の強さも申し分ない庭木です。

広いお庭ですと庭木への水遣りに苦労する事が考えられますが、剛健なオオムラツツジの生垣であれば頻繁な水遣りも不要です。

紫色の花は4~5月が開花で全体に咲き続け、花もやや長めに楽しむ事が出来ます。

生垣としては低木を大きく育てる形になる事から、通常生垣で必要となる骨組みが必要ありません。

花芽の分化期と刈り込み直後の透けに注意

オオムラツツジも成長は全体が膨らむ様な形であり、元々低木であるが為に扱いやすい生垣となります。

刈り込みは花後に強めに行う事が基本となりますが、この際、刈り込み直後だけは葉が少なくなって向こう側が透ける可能性があります。

また、オオムラツツジの生垣は高さと幅が同等であるサイズ感が必要で、幅をそれなりに必要とするものとお考え下さい。
例えば道路沿いの生垣とする場合は、予め60cm程は成長エリアとしてセットバックした植栽が望ましいです。

アベリア

アベリアの生垣

アベリアはスイカズラ科・ツクバネウツギ属の常緑低木であり、和名はハネツクバネウツギと呼ばれます。
印象としては花期が長くとにかく剛健で乾燥に強い樹種です。

公園や街路樹として植えられても放任で育ち、刈り込みからの萌芽力もかなりの強さを持ちます。

ですので逆に刈り込みの必要性が高い樹種とはなりますが、枝がある程度伸びても急な刈り込みを要さない様なゆとりのある場所の生垣としておすすめ出来ます。

花期は5月~10月と、成長期はほぼ開花しているという庭木であり、花の咲く生垣としても重宝されます。

ボリュームを楽しみつつ、思い切った刈り込みを

ますアベリアは成長の早い生垣となる事を認識しておきましょう。

一般的な生垣の様に整えられた壁状と言いますよりも常に枝が伸びて枝垂れている様なイメージ、これを大事にすることが美しく見せるポイントとなります。

先述の花期5~10月の成長期内であれば剪定は自由に行う事ができ、花芽を消失する等の心配もありません。

刈り込みについては萌芽力の高さを踏まえ、むしろ遠慮せずに整形をしてしまう方が良い結果になります。
同時に混み枝や枯れ枝を取り除いておく事が望ましいでしょう。

生垣としての樹高は1m~1.8mとしておく事が多く、人の目線の高さの目隠しとしては十分に補う事が出来る樹種と言えます。

ドウダンツツジ(注:落葉樹)

ドウダンツツジの生垣

まずドウダンツツジは落葉樹でありますので、強い目隠し効果が必要な場所では生垣として不向きとなります。

4月~5月には釣り鐘状の小さな花がたくさん咲き、生垣の場合は全面に咲き誇ります。

落葉樹としては稀な葉の小ささと萌芽力の高さを持ち、これが生垣として使われてきた理由です。

密度の高い小枝が壁となる

落葉したドウダンツツジの生垣

落葉した冬季のドウダンツツジの生垣ですが、非常に細かい枝が立派に壁を形成しているのがお解りいただけると思います。
完全な目隠しまでは難しいものの、生垣としては十分に活躍してくれます。

また、ドウダンツツジの生垣であれば秋の紅葉も見る事ができ、壁一面が赤く染まる様子はとても美しいものです。

乾燥と刈り込み時期に注意

ドウダンツツジは毛虫類の心配が少なく成長も緩やかで、生垣としては大きなおすすめポイントです。
しかし落葉ツツジの特性から強い乾燥に弱い面があります。
植え付け部分の地表に陽が差さない場所を選ぶ他、やや水持ちの良い土(赤玉土にピートモスや腐葉土を混合)で植え付けると良いでしょう。

ドウダンツツジの刈り込みは、他のツツジ類と同じく花後(5~6月)に行うのが基本です。
夏以降の刈り込みは翌年の花芽を飛ばす(落とす)事になります。
ドウダンツツジの花が咲かないという理由で一番多いのが落葉期の刈り込みによるものであり、その他は日照不足や極度の乾燥が挙げられます。

おしゃれな洋風生垣7種類

カラーリーフの庭木を使って生垣を作ると明るい雰囲気が生まれ、おしゃれな洋風生垣として楽しめます。

カラーリーフの生垣はレンガ調や洋風のお住まいによく似合いますので、建物をよりおしゃれに引き立てたい場合におすすめです。

斑入りマサキ

斑入りマサキは「マサキ」がカラーリーフになった庭木で、縦方向に伸びる習性から生垣に向く木として知られています。

色鮮やかな斑入りマサキの生垣

色合いは明るいですが決して華美ではなく、優しい印象の洋風生垣を作る事が出来ます。

枝はほとんどが縦方向に向かっているのが特徴で、これによりどこかスリムな雰囲気も持った生垣となります。

寒さが強い場所ですと落葉を起こす事があり、その年の寒さ次第では春の新芽時期に全ての葉を落として入れ替わる事もあります。

この新しい葉を食害するアオムシに注意が必要ですが、日当たりの良い場所であれば病気・害虫を寄せ付けない生垣となります。

上方向への伸びの強さを想定しよう

マサキの生垣はとにかく縦方向への成長が見られ、横方向は極めて管理もしやすいです。

生垣天面からの伸びに対処するのが最も手が掛かりますので、あまり背の高い生垣にせず、刈り込みを行いやすい高さに留めておく事がおすすめです。
しかし成長によって高い位置まで目隠しをしたい場合にはこの成長力を活かす事が出来ます。

枝自体は柔らかいので刈り込みに負担はかかりません。
成長期に2回ほど刈り込んであげると密度濃く育ってくれます。

プリペット(シルバー・ゴールド)

プリペットは生垣というよりも列植として捉えておく事が必要で、通常の生垣の様に刈り込んで整形しておく形とは分けて考えましょう。

柔らかさを維持したいプリペットの列植

小さな葉と枝のしなやかさが魅力的なプリペットは、並べて植えて「生垣風」に楽しめる庭木です。

一般的な生垣とは異なり幅を薄く仕立てる事は出来ませんが、刈り込みによって密度を上げて育てる事で、生垣風の目隠しとする事が可能です。

シルバープリペットの生垣

写真のシルバープリペットの生垣は斑入りの葉が美しく、遠くから見ても華やかさを感じられます。

成長を見越して植栽の間隔は離しておく事が必要で、これも通常の生垣とは異なる部分です。
また、骨組みなども必要とせず、成長によって自然な高さを出していくのが基本であり、自由な姿を崩さない様にするのが大切です。

眩しい程の色を持つゴールドプリペット

ゴールドのプリペットはさらに明るいカラーリーフであり、イエローが眩しい程の生垣となります。

色合いの強さから、距離の長い生垣よりは1~2m程の距離をワンポイントで明るく見せる様な使い方がおすすめです。

ある程度のボリュームを許容しよう

プリペットは非常に成長が早く、これを無理に抑え込んでしまうかどうかが景観の要になってきます。

生垣の計画時から高さ・幅共に1m前後を想定しておく事が必要で、この位の株まで自由に育った姿が美しい生垣となります。

これ以下の大きさに留めようとすると太い徒長枝が無数に展開し、柔らか味とは無縁の生垣となってしまいます。

春にアオムシによる食害を受けるケースが多々あり、これは葉脈だけになってしまった葉が見付かり次第、全体に殺虫剤を散布します。

このアオムシは非常に小さく発見が難しい為、発生予防として全体への農薬散布を行っておけば安心です。

ゴールドライダー(コニファー)

ゴールドライダーはコニファー(針葉樹)の中の1品種であり、ヒノキ科レイランドヒノキ属に分類される庭木です。
特に小さく密生した葉と強い萌芽力が生垣に向いています。

ゴールドライダーはコニファーとして人気のあるレイランディのイエロー葉品種という位置付けになり、時期や芽の成長に関わらず一年中枝先の葉が黄金色になっています。
この見た目から同じコニファー類のゴールドクレストと混同される事がありますが、性質は大きく異なります。

コニファー類は総じて強い陽当たりを好んで日陰には弱い傾向がありますが、このゴールドライダーは裏面や下部等、陽が少ない箇所も葉が残りやすい性質があります。

刈り込みからの芽吹きも強く、コニファーの中では葉がかなり密生する部類になる為、あらゆる面で生垣に向いている品種と言えるでしょう。

コニファー特有の耐乾燥性を活かしてプランターや鉢植えで楽しめるので、長方形の大型プランターへ植えれば生垣風の仕立てを楽しめます。

土が無いけど生垣が欲しい、ゴールドライダーはそんな望みを叶えられる庭木と言えます。

頻度の高い刈り込みで美しく仕上げる

ゴールドライダーは一年に一度の刈り込みでも整形維持出来る数少ないコニファーですが、やはり刈り込み頻度が高い程に葉密度も上がって幅もコンパクトに仕立てる事が出来る様になります。

刈り込みの推奨時期は他のコニファーと同じく
・7月~9月頃の生育期間(酷暑期は避ける)の整形
・3月~4月頃の成長前時期における強剪定。切り戻し
となります。

コニファーにしては元の葉が残りやすい樹種ですので、葉がある部分までは刈り込みによってしっかり大きさを戻し、長期間大きさを維持する事を意識しましょう。

スカイペンシル

スカイペンシルはモチノキ科に分類される、イヌツゲの一種にあたります。

細い樹形なのでコニファー類と間違われる事も多いのですが、葉をよく見るとツゲである事が解ります。

最大の特徴は全ての枝が真上に向かって伸びる事で、この成長傾向が独特の樹形を作り出しています。

この成長の仕方はマサキ類と共通していますが、やはりスカイペンシルの細さは独特で美しく、おしゃれな洋風生垣として活躍します。

樹形が細いのですが濃緑色の葉によって存在感があり、どんなお住まいでもよくマッチします。
特にレンガ調や白壁のお住まいにスカイペンシルを合わせると、とても美しい生垣として映え、シックな洋風感を手軽に楽しむ事が出来ます。

イヌツゲの仲間にしては半日陰でも葉が残りやすく、何といっても細い樹形が保たれるので「越境」を特に留意する場所にもおすすめが出来る生垣です。

手間の掛からない生垣としてもおすすめ

スカイペンシルはイヌツゲの仲間である為、強い枝が何本も走るといった成長は見られません。

むしろ庭木としては成長が緩やかな部類に入り、比較的維持もしやすい生垣となるでしょう。

剪定は成長が始まる前の3月が適期であり、この時に幅が出てしまう要因となる枝を外したり、全体を刈り込んで整える程度で済みます。

剪定時期の直前にあたる1月~2月に、有機肥料を寒肥として与えておくのも良いでしょう。

レッドロビン(セイヨウカナメモチ)

レッドロビンはセイヨウカナメモチの別名であり、現在では最もよく見掛ける生垣となっています。

レッドロビンの生垣

元々は生垣としてベニカナメモチという木が主流でありましたが、木自体が強くなく、段々と枯れが進んでいく事が多く見られました。
そこでカナメモチとオオカナメモチの交雑種である「セイヨウカナメ(レッドロビン)」が多く使われる様になり、現在に至ります。

実の所私がレッドロビンをおすすめする事はあまりなく、あまりにも旺盛な成長力と刈り込みの必要頻度から、別の種類を選ぶ事がほとんどです。

新芽の赤さは見事なのですが、一般的な広さの庭でサイズを抑える事が難しく、コンパクトに抑えようとする程に幹や枝がすぐに太くなってきます。
剪定に鋸を要するのも頻繁で、枝が絡みやすく、剪定直後は葉がほぼ無くなる事もしばしばです。

頻度の高い刈り込み作業を前提に

レッドロビンの生垣は、最初の3年程は大人しく、手も掛からない様な印象に感じる事と思います。

しかしその後の成長は早く、全体的にいつの間にか膨らんでしまったかの様な育ち方を見せます。

気が付いた頃には鋸を用いた強剪定をする他に無く、この強剪定に反発する再成長枝を毎回切り戻す様なローテーションに陥るケースが多いです。

これを避ける為にはご自身で4月~8月の生育期に3回程刈り込み剪定を行う事が有効で、頻度が高い程に切り落とす枝も少なくて済みます。

害虫としてイラガが発生する確率が高く、このイラガに刺されるのはレッドロビンの刈り込み時が最も多いのではないでしょうか。

特に頭上の枝を刈り込んで、落ちてきた枝にイラガが付いていた、というケースが後を絶ちません。
見上げた状態での刈り込みは危険ですので、安全・適正に脚立を使用して行う事をおすすめします。

紅花トキワマンサク

先程、花の咲く生垣でもご紹介を致しましたベニバナトキワマンサクですが、カラーリーフ生垣としても魅力的ですので再度登場致します。

上品な紅色を見せるトキワマンサクの葉

ベニバナトキワマンサクの葉は紫掛かった色であり、秋には古葉の紅葉も見られます。
葉が小さくて数も多い為、生垣では赤紫色の壁となり、洋風のお住まいにとても良く似合います。

上でご紹介の花と併せ、レッドリーフの生垣がお好みであれば大変おすすめです。

アベリア(カラーリーフの品種)

花の咲く生垣でもご紹介を致しましたアベリアですが、カラーリーフ、いわゆる斑入り種の葉がとても華やかで美しい為、洋風の生垣としてもセレクト致しました。

カラーリーフ(斑入り)のアベリア

写真の斑入り品種「ホープレイズ」は多く流通しているカラーリーフのアベリアであり、手軽に生垣として取り入れる事が出来ます。

とにかく明るい葉色はレンガ調やホワイトのお住まいに良く似合い、遠目からでも引き立つ洋風生垣となってくれるでしょう。

ホープレイズは黄色の斑入りとなりますが、白い斑入り葉の「コンフェティ」もあります。
こちらはシルバープリペットにも似た雰囲気であり、尚且つ花も楽しめる生垣となります。

塩害や公害に強い生垣5種類

生垣は絶えず風に吹かれたり、直射日光が強く当たり続ける場所へ設置される事も多いです。

実は庭の外周や道路沿いは庭木にとって過酷な環境である事も多く、台風による塩害、排気ガスの影響も受けやすくなります。

ここではこれらの環境に耐え得る剛健な生垣をご紹介します。

イヌマキ・ラカンマキ

マキは海に近い地域で昔から生垣として植栽されており、潮風に強い事がうかがえます。
また、海に近い場所は風が強い事も伴いますので、これに耐え得る生垣として利用されてきた事が解ります。

ラカンマキの生垣

ラカンマキはマキの高級種として存在し、葉の形状はイヌマキと比べて小さく繊細で、枝分かれも細かいのが特徴です。

この特徴は生垣に仕立てる事に大変有効で、キンメツゲと並び最も密度の高い生垣を作れる庭木と言えます。

また、寒さによって落とす葉も少なく、年間を通して緑の壁を維持する事が可能です。

こちらはイヌマキですが、生垣用である場合はイヌマキの中でも細葉性の木を使う様にしています。

もちろん通常のイヌマキでも宜しいのですが、このイヌマキですと葉の広がりが少なく葉が小さく見える為、美しい生垣に見えます。

イヌマキのメリットはラカンマキに比べて剛健である事が挙げられ、生垣としての植栽後も全ての木が健康に根付く事が多いです。

ウバメガシ

ウバメガシの生垣

備長炭の材料として有名なウバメガシですが、庭木としても古くから親しまれています。

カシ類としてはとても小さな葉を持ち、密度も高い事から生垣としての植栽が最も多いかと思います。
葉はツヤもあり美しく、ウバメガシはある程度の日陰にも適応する事が出来ます。

公害や乾燥、潮風に総じて強い為、この剛健さが必要な場所の生垣として活躍します。
また、カシにしては毛虫の害を受けにくいのも特徴です。

枝の硬さとハチの営巣に注意

ウバメガシは枝が非常に固く、特に枯れ枝の除去には苦労します。

刈り込みを行った際には切り口の太くなってしまった部分を木鋏で取り除くのですが、この作業ポイントの数が多く、これもやや苦労を要する所です。

太い枝は刈り込み鋏が効かない事も多い為、刈り込み鋏と剪定鋏を交互に使い分けるシーンが多く、慣れていない方ですと大変かもしれません。

また、葉密度の高さから蜂の巣を作られる事が多く、夏~秋の刈り込み時には非常に注意が必要です。

モチノキ

モチノキの生垣

モチノキは非常に古くから防風生垣として利用されてきた歴史があり、剛健で萌芽力の強さが最大の特徴です。

生垣としての高さも自在に仕立てる事ができ、人程の背丈から数m~の背丈まで、あらゆる生垣に利用する事が出来ます。

モチノキは葉が小さいという事も生垣向きである理由で、定期的に刈り込みを行って仕立てたモチノキの生垣は高い目隠し効果を持ちます。

モチノキには新芽が金色の様な色合いを持つキンモチや、葉がやや小さく密に仕立てられるシイモチ等の種類も存在します。

根が張って落ち着くまでは乾燥に注意する必要がありますが、根付いてしまうと非常に剛健な木であり、カシ類と同様に多少の強風では動じない根張りの強さを見せます。

イラガやカイガラムシの発生に注意

モチノキは剛健な木である一方、害虫による被害に注意する必要があります。

稀にイラガによる食害を受ける事があり、発生しているときに刈り込み作業を行いますとかなりの確率で刺されてしまいます。

作業の前には毛虫がいないかどうかをよく確認するか、もしくは農薬散布を行ってから刈り込みを始める事がおすすめです。

また、古いまま残していた小枝や、弱った枝からカイガラムシに寄生される事があり、これを慢性化させてしまうケースもよく見られます。

農薬としてカルホス乳剤の他、冬季に殺菌剤を散布しておく事も望ましくあります。

ヒイラギモクセイ

ヒイラギモクセイの生垣

ヒイラギモクセイは、葉が強い鋸状に尖っているのが特徴です。

葉に触れると痛みを感じる事から、この特性を活かして強い侵入防止の意味合いを持たせた生垣に用いられてきました。

名前の通り木自体はキンモクセイと似ており、幹の頑丈さや枝の硬さも共通しています。

強い刈り込みにも非常に強く、幹を切断する様な丈詰めを行っても枯れる事がありません。

光沢があるパリパリとした葉は強い日差しにも動じず、過酷な環境に設置する生垣としておすすめが出来ます。

成長傾向と管理方法

先述の様にヒイラギモクセイは刈り込みに強く萌芽力がとても強い木です。

枝が非常に固い為、ご自身での刈り込みですとついつい薄い切り戻しに留まってしまう事があります。
薄い刈り込みを続けるといつの間にか幅が大きくなってしまうケースが多いので、刈り込みは思い切って行う事が望ましいです。

成長期である4月~8月であれば葉の無いところまで刈り込んでしまってもすぐに葉が展開して目隠し効果を取り戻します。

陽樹である為に深部には葉が少なく、刈り込みを行った直後は目隠し効果を失う事が多いです。

この為秋や冬に刈り込みを行うと翌春の芽吹きまで目隠し効果が低くなりますので、剪定の時期には注意しましょう。

剛健で成長力もある木ですので肥料は必要とせず、乾燥にも強い為に根付いた後は水遣りの必要もありません。

成長の強さから、年に一度の刈り込み・整形は必須となります。

カイヅカイブキ

カイヅカイブキはヒノキ科の針葉樹であり、コニファー類がまだ身近でなかった高度成長期頃に洋風樹木として好まれた庭木です。

カイヅカイブキの生垣

近年では植えられる事も少なくなったカイヅカイブキですが、当時は公共施設や住宅分譲地に多く植えられ、現在もその姿をあちこちで見掛ける事があります。

生垣として植えられたというよりも、元々は列植されていたカイヅカイブキが成長によって密着し、結果として生垣として仕立てられたというケースが多いです。

元々はイブキという海沿いに自生している植物がルーツである事から、塩害や強風には全く動じず、排気ガス等の公害にも強い木です。

この特性から、カイヅカイブキの生垣がおすすめ出来るのは、トラックの出入りも多く、港湾地帯にも近い工場やターミナルと言えるでしょう。

コンパクトな生垣にするのは困難

カイヅカイブキは放任すると入道雲の様に膨らんで育って樹形も自然に整いますが、反対に剪定によって大きさを手軽に維持するのは難しい生垣です。

幹を中心として直径1m以上の幅を見越しておく必要がありますので、住宅街の道路沿いや駐車場脇に植えてしまうと刈り込みを行っていてもどんどん越境していく傾向が見られます。

カイヅカイブキは樹形を整える刈り込みの時期は選びませんが、枝を落としたり小さく作り直す剪定の場合は成長が開始される5月辺りに行います。

しかし強い剪定を行った後は原種の名残であるトゲの強い葉が発生しやすく、通常の葉と比べても色が異なって目立ちます。

この枝の完全除去は難しいですが、見付け次第外しておきましょう。

低く維持出来る低木生垣4種類

先のご紹介を致しました、境界やアクセントとしての生垣には、背の低い低木類が適しています。

生垣の低さは無理に留められるものではありませんので、元々背を低く維持出来る庭木が適しており、尚且つ生垣向きの条件を満たしている必要があります。

キンメツゲ

キンメツゲの生垣

ツゲの小葉性であるキンメツゲは、名前の通り新芽の金色が鑑賞ポイントとなりますが、最大の特徴は枝葉が細かく高密度な点にあります。

適正環境は明るい日向で風通しの良い場所です。

元々ツゲは刈り込み仕立てに適した庭木であり、高密度であれば生垣素材としては最高と言えます。

生垣としての高さは40cm程度でも維持が可能であり、壁というよりも箱状に仕立てられるほか、曲線をデザインした生垣を作る事も出来ます。

刈り込みの技量が表れやすい

キンメツゲの生垣は葉が細かく完全な壁状になる事から、刈り込み剪定の技量が表れやすいという難点があります。
ご自身での刈り込みを行われる事も多い生垣ですが、キンメツゲは曲がったり凹んだりといった部分が目立ちやすく、綺麗に見せるにはある程度の技術が必要になってしまいます。

キンメツゲが起こす部分枯れ

また、長く植わっていたキンメツゲの生垣は「部分枯れ」を起こす事があり、コナジラミなどの害虫が要因の一つではあるものの、原因が解らない事が多いです。

また、ハマキムシの被害に遭う事があり、これに対しては予防的農薬散布が必要です。

日当たりの悪い場所へキンメツゲの生垣を作りますとハダニの被害を受けて見た目が悪くなりますので注意が必要です。

ボックスウッド

ボックスウッドの生垣

ボックスウッドは上でご紹介のキンメツゲと同じくツゲの仲間であり、葉の大きさはやや大きくツヤがあり、明るい色を持っています。

この為、洋風の低木生垣として使われる場面が多く、高さも50cm程度のコンパクトサイズに留める事が出来ます。

葉の傷みとツゲノメイガに注意

ボックスウッドは刈り込みによって葉が裁断された箇所が傷みやすく、茶色く変色します。
生垣ですとこの色変化が全体に起こりますので、全体が変色してしまった様に見えます。

切り口から新たな枝葉が出れば再び見えなくなりますが、一時この様な景観が見られる事は留意しておきましょう。

食害されたボックスウッドの葉

ボックスウッドはツゲノメイガの食害を受けるケースが多く、これが最も注意する点です。

予防措置としてスミチオン等の殺虫剤全体散布が望ましくありますが、念に2~3回の発生が懸念されますので、手間と観察は惜しまずに続けてあげる必要があります。

ヒメシャリンバイ

生垣風に列植したヒメシャリンバイ

ヒメシャリンバイは生垣用というよりは低木庭木として取り扱われますが、その成長の緩やかさと葉密度を利用し、「生垣風」に列植する事もあります。

幅の薄い生垣の様に維持する事が可能で、仕立てる時はある程度枝葉が充実したヒメシャリンバイを並べて植える様にします。

ヒメシャリンバイは春に花も咲きますので、花の咲く生垣としてもご紹介したかったのですが、やはり高さ1.3m程のサイズで維持できる低木生垣としてのおすすめ度が勝りました。

病気や害虫の被害も受けにくく、陽当たりと風通しの良い場所であれば剛健に育ちます。
植え付け1~2年は全体に元気の無さや落葉が見られる事があり、これを乗り切った後に枝葉も成長力も復活するケースが見受けられます。

オオムラツツジ

先程は「花の咲く生垣」の中でもご紹介を致しましたオオムラツツジですが、葉密度の高さと萌芽力の強さを活かし、低い生垣にも向いています。

刈り込み剪定につきましては先にご説明の様に、花後の強い刈り込みが適しています。

写真のオオムラツツジは花後と冬の2回に渡り刈り込みを行っており、極めて薄い刈り込みで仕上げる事が出来ています。

頻度の高い刈り込みをされたオオムラツツジは葉も小さく枝数も多くなり、生垣としての見た目が確実に良くなります。

常に密度の高いオオムラツツジの生垣を維持するのであれば、やはり薄くこまめな刈り込みを年に2~3回は行いたいものです。

「高垣」として育てられる生垣3種類

高垣とは背の高い生垣を差す言葉で、高さ4~5mにも達する仕立ても見られます。

高垣の場合は生垣を作る段階からある程度の樹高は必要ですが、高垣の多くは植栽後からの更なる成長も計画に入れているものです。

用途としては壁ではカバー出来ない高所の目隠しが主となり、2~3階への目隠し対策が必要な際は、高垣のみが対応できるものと思います。
旅館やホテル、規模の大きな邸宅などの見られます。

ここでは背を高くする高垣としておすすめな生垣をご紹介します。

シラカシ

シラカシは昔から背の高い生垣として親しまれており、モチノキと共に防風林・防火林として使われてきた事もあります。

高垣としてのシラカシ

シラカシの生垣は高さ5m前後まで壁仕立てにする事も可能で、塀や外壁よりも遥かに高い位置まで目隠しを行う事が出来ます。

もちろん剪定管理は植木屋さんに依頼する事が必須であり、相応の費用が年間管理費として必要になる事を踏まえておきましょう。

アラカシ

アラカシの生垣

アラカシはシラカシよりも葉が大きく印象が異なりますが、規模の大きな生垣を作るには向いております。

葉が大きい分、剪定を行った時の透けが強く感じられますので、一度に強剪定を行うよりは、成長期に2~3度の剪定を行うのが望ましいです。

成長力とイラガの発生に注意

シラカシ・アラカシの生垣はイラガの発生と、旺盛な成長力に注意が必要です。

元々シラカシは規模の小さな生垣には向いておらず、高さは最低でも2m~を想定しておかなければなりません。

それ以下の樹高で切り続けていると幹や枝が急激に太りだし、徒長枝だらけの樹形へ変化するので注意しましょう。

ヤブツバキ

ヤブツバキは野趣あるツバキの原種として親しまれている庭木ですが、背の高い生垣にも適しています。

ツバキの生垣

ヤブツバキは花の咲く生垣としてご紹介もしたかったのですが、やはりある程度の樹高を要する生垣ですので、高垣としての紹介となります。

大きめの葉ながら刈り込み直後も目隠し効果が高いヤブツバキの生垣。
これはツバキが持つ耐陰性により内部の葉も活き活きとしている事が要因です。

他の庭木であれば葉の付かない様な暗い部分にも葉が茂っており、これが目隠し効果を維持できる理由です。

高さ3~4mの生垣としてその姿を見掛ける事が多く、実は管理も容易である生垣でもあります。
成長期に2~3回程の刈り込みを行っていれば写真の様な綺麗な壁となって育ち、優れた生垣として機能します。

落ちた花の掃除とチャドクガ対策が必須

ツバキの花は大きな花が丸ごと落ちてきますので、この掃除に苦労する事は考えられます。

落ちた花を車が踏んだりしますと路面にこびりついてしまい、これを掃除するのが非常に困難となります。

また、ツバキ特有のチャドクガの発生リスクがあり、高垣の規模ですと農薬散布をご自身で行う事は難しいかと思います。
この為ツバキの生垣は剪定だけでなく農薬散布も併せて植木屋さんへ依頼する事が必要となります。

生垣の構造・作り方のポイント

それでは簡単ながら、ここでは生垣の構造を見てみましょう。
生垣は骨組みを先行して作るものですが、植えた木が立派になるまではこの骨組みがとても目立ちます。

ですので私共が生垣を作る際は、この骨組を丁寧に作る事を特に心掛けます。

生垣を支える支柱(丸太)の埋め込み

地面を掘って埋め込む丸太は、標準的な生垣サイズの場合ですと直径9cm程、長さ1.8~2.1mのものを使います。

生垣支柱丸太の埋め込み

最もポピュラーな生垣サイズは、

  • 高さ1.5~1.8m
  • 幅4m前後

でありますので、一つの目安としていただければと思います。

現在流通している丸太は防腐剤(タナリス剤)を注入された製品があり、このタイプの丸太は驚く程に長持ちします。

水準器で丸太の垂直を確認

丸太は水準器を使ってしっかりと垂直に据え付け、左右の丸太も高さを合わせておきましょう。
丸太はいずれ不要となる物ですので据え付けにコンクリートは使わず、埋め戻した土で突き固める方法で十分です。

生垣支柱の理想的な間隔

丸太同士の間隔は1.8mを基準としますが、設置距離に応じて割り振りするのが一般的です。
間隔は「最長で1.8m」という程度のご認識で大丈夫です。

DIYにチャレンジされる際も、太めの丸太がおすすめです

DIYですと、どうしてもこれよりも細い丸太を使ってしまうケースが見られますが、丸太を突き固めた時の強度が全く異なりますので、重いものではありますが太い丸太を使う事をおすすめします。

支柱丸太と竹の釘留め

支柱丸太と竹は、必ずドリルで下穴を通してから釘打ちで止めます。

生垣の支柱と竹にドリルで下穴開け

予め下穴を通しませんと釘打ちで竹が割れてしまい、丸太に打ち込むのも難しくなります。
下穴は丸太に1cm程入り込んでも問題ありませんので、しっかり行いましょう。

支柱丸太と竹を釘止め

必ずしも必要な訳ではありませんが、この釘を隠す目的で縄縛りを施す事もあります。
ですがほとんどの場合はこの後の植栽によって見えなくなりますので、特にDIYの場合は省略しても良いでしょう。

生垣の骨組みとなる丸太と竹

釘打ちまで終えた生垣の骨組みの様子。
水平や垂直をしっかり保って施工する事で、生垣が成長するまで美しい景観に見せる事が出来ます。

木の植栽~縛り付け

生垣となる木を一列に並べていく

生垣の木を植える時は、一本ずつの穴を掘るというよりも「溝」を掘る様になります。
掘る量は増えますが、結果として根の周りの土が柔らかく耕されるメリットも得られます。

木の本数は、樹種やサイズによりますが、6~7本/1.8m位の数が通常です。

植栽した木を竹に縛っていく

植栽した木は倒れやすい為、すぐに縛り付けを行っていきます。
根の状態によっては穴に入れても自立出来ない木もありますので、その場合はい1本ずつ縛りながら進めていきます。

幹の修正や枝の誘引も忘れずに

尚、この縛り付けは庭木の角度の補正や枝の誘引も兼ねています。
斜めになった木は起こし、寂しい箇所があったら枝を引いて縛っておく事が大切です。
また、混み過ぎている枝は成長面を阻害しますので、重なっている枝はこの時に外しておきましょう。

完成した生垣

完成した生垣

切り口が各所に存在する事で、速やかに枝分かれを促す事となり、生垣の成長がスタートする事になります。

まとめ

生垣のメリットや注意点、おすすめな樹種をご紹介を致してまいりましたが、如何でしたでしょうか。

生垣の設置は、場所や環境に応じた樹種選びはもちろんの事、後々の剪定・メンテナンスのご説明も必須となります。

生垣は計画性を伴うものですので、ご依頼の際はそちらの点も踏まえましてご相談をさせていただければと思います。

併せまして弊社による生垣の施工例一覧も是非ご参考下さいませ。