今回は東京都世田谷区にて施工させていただいた和風造園工事の着工から完成までの様子をご紹介させていただきます。

背景にある既存の植木をそのまま活かし、花や実、新緑や落葉を楽しむ事が出来る植栽を加え、季節感のある和風のお庭の造園施工をさせていただきました。

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テラス式の石畳空間と和室より臨む蹲空間を、垣根によって程よく区切ったお庭です。日向と日陰が混在する空間に合わせて植栽を考慮させていただきました。

 

既存の植木を剪定し、お庭の日当たり具合を確認します。

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造園作業に先立ち、最初に行わせていただきましたのは既存の植木の剪定です。
枝透かしを行い、通風を良くします。

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剪定を終えた状態でのお庭の日当たりを確認する親方です。
陰樹と陽樹を使い分ける為、更地の状態の内に確認する事が大事です。

お庭の脇となる、壁際へ耐陰性の植木(ローソク仕立てのマキ)を植栽します。

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植栽する植木を搬入します。壁際への植栽は、植木の種類を考慮しないと後で傷む事があります。枝が伸びて隣家へ侵入しやすい植栽も避けなければいけません。

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植栽を終えた様子です。お庭の隅は、全体的な風景を考えると非常に大切な部分です。メンテナンスもしやすく維持しやすい植栽をしたいものです。

再利用する植木を移植して、新しく用土を搬入します。

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アジサイの移植作業です。幸い移植に適した時期でしたので、他の植木の移植もスムーズに行う事が出来ました。 新しい庭の適した場所へ再度植栽します。

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運搬してきた用土をお庭へ搬入します。現場の特性上、手下ろしの作業となります。必要に応じて部分的に他の用土とも混ぜ合わせる事もございます。

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お庭の造園イメージを考慮しながら、土を盛り上げていきます。お庭に出て眺めた風景、お部屋からお客様が眺める風景を考えながら整えていきます。

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こちらは逆側になります。後に垣根で区切る位置関係も、この段階で考慮します。こうしてお庭の骨組みとなる地形を形付けていきます。

完成時のお庭の輪郭を念頭に置き、地形を整えながらの植栽作業です。

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庭の最奥部への植栽です。角の塀隠しになると同時に、横へ広がらずに上へ成長する特性の植木を選びましたので、庭の形を崩さず隣家からの目隠しへ成長させる事ができます。

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お庭の主役とも言える紅梅の植栽です。高めの土盛りの上に据え付け、存在感を出して植栽しました。搬入の際はつぼみを多く持っていました。

お庭の中を進むアプローチとテラスを兼ねた、御影石の石畳を施工します。

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歩行用とはいえ、コンクリート下地を全ての敷石に繋ぎ、長い年月に耐える強度を確保します。 圧着工法によって一枚一枚を確実に決めていきます。

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それぞれ厚さや大きさが微妙に異なる石材ですので、据え付けも慎重に行います。きっちりと大きさがそろった資材を並べるよりも技術的には高度な作業です。

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角部や接合部は入念にチェックしながら施工していきます。歩きやすさや、角の立った部分が無いかを確認しながら施工が進みます。

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お客様のご要望により、最終的に物置の前まで敷石を延長させていただきました。これにより物置を行き来しても、履物に土が付く様な事がなくなりました。

平地(砂利敷き仕上げとなる部分)を明確にした上で、庭石の据え付けを行います。

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後に砂利敷きとなる部分を明確にする為、土を削りだします。丁寧に行う事で、後の見栄えが全く変わってきます。

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平地部分との落差と同時に植栽との引き合いも考慮します。お庭の中で最も目立つ、第一石を決めている所です。

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続けて他の庭石を据え付けていきます。この位置を決める際には大切な法則がありまして、遵守しながら据え付ける事でお庭が完成した際に庭石が引き立ちます。

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蹲側のお庭の三石を配置した所です。三石それぞれ違う表情を付けてあります。お庭が出来上がって来るにつれ、その大切さが明確になって見えてきます。

手水鉢や燈篭を適所へ設置し、人工竹の垣根を施工します。

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造園図面上はもちろん、施工中に改めてお客様とお話し合いをさせていただいて決定した位置へ垣根を施工します。

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人工竹を積み上げています。縛り目は天然竹と変わらない縛り方ですので見た目も良く、強度もあります。

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使用した手水鉢は現在はなかなか見る機会が少ない国産品です。柔らかいシワの様な石肌や、彫りのきめ細かさが最大の特徴です。

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手水鉢と灯篭、それに垣根と添え付けの植栽を合わせた様子です。植栽は成長がとても緩やかな植木を使用させていただきました。

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御簾垣の反対側へあしらう四つ目垣の施工です。 こちらも人工竹ですが、最も天然の様に見える色の物を採用しました。

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設置した様子です。お庭を柔らかく区切る事ができ、アクセントとしても大切な存在になります。

蹲の海部分を州浜式に庭石で組み上げていきます。

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州浜となる部分を掘り下げます。立体感や野趣を出す為にも、思い切った地形作りが大切です。

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蹲に座る前石の設置です。根府川石を使い、立ちやすく滑りにくい使い心地を考慮致しました。

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前石が決まり、反対側も組み進んでいきます。 植栽を取り入れながら大小織り交ぜて形にしていきます。

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庭石の下部を細かく掘り下げ、セメントを詰め込む空間を確保します。庭石の色と合う様に、炭等を使います。

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非常に細かな部分までセメントや炭を詰め込みます。 土の流出や強度を出す為の、大切な仕上げ作業です。

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組みあがった蹲周りです。黒みがかったセメントは、時間と共に石と同じ様な色合いになっていきます。

お庭の各所に細かな植栽を配し、飛び石を設置します。

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四つ目垣へ植栽によるあしらいを施します。足元で揺れる下草類は、是非お庭に取り入れたい素材です。

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柔らかな下草と硬い石とのバランスを、落葉樹の植栽でまとめています。

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最初に植栽したマキの前を低木の植栽でまとめています。 奥に見えるのが耐陰性の植栽で、前に出てくる程日向に適した植栽に切り替えております。

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低木は低木らしく、低い位置でまとめる事で、庭の奥まできれいに見えます。最前列にこだわる事で、風通しや採光等にも効果が出ます。

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和室前から蹲へ、更に奥のテラスまで続く飛び石を設置します。 どの高さに合わせていくか、お客様とご相談の上で決定します。

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蹲へ寄り道しながら奥へ続く様な設置としました。 踏み出しの足に合わせてそれぞれの位置を決めてあります。

お庭の各所へ砂利を敷き詰め、お庭全体を洗浄します。

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州浜に黒砂利を敷きこみました。中から雑草等が出ない様に工夫してあります。 庭の表情を考慮し、ツヤの無い落ち着いた物を使用致しました。

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伊勢砂利を搬入し、庭に下ろしていきます。 細かな部分まで砂利を行き届かせる事が大切です。

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砂利は丹念に叩き伸ばしていきます。通路が確保されているお庭では砂利の上を歩く事が少ない為、丁寧に仕上げる価値があります。

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砂利を敷き詰めて散水洗浄を終え、お客様にご確認していただいてお庭の造園施工が完了となります。 叩いた砂利がとても美しいお庭です。

造園施工後の写真です。

お庭の中心部に施工した垣根により、和室と洋間から、それぞれ違った眺めを楽しむ事が出来る事と思います。

今は紅白の梅、そして春は新緑と花、夏は百日紅の花、秋には落葉樹が色付き、冬季には寒椿の花や金柑、柚子を楽しむ事ができるお庭です。

こちらのお庭の施工例は和風の庭:世田谷区T様邸 蹲の和風情緒と四季を感じるお庭にてご覧戴く事が出来ます。

お客様とお話ししながらの造園施工でしたので、大変工事が進めやすく、楽しく施工する事が出来ました。
工事を進める上では他にも大変お世話になりました。

それでは失礼致します。