今回は流山市のW様邸にて施工を致しました、中庭でのプランター植栽作業のご紹介です。

 お住まい中央に空けられた、デッキの中庭スペースです。
 通風と採光をお住まいに取り入れる坪庭的な目的もあり、こちらはお客様が一番大切に考えられた空間でもございます。
 こちらに植栽を施す構想は設計段階より考えられており、その際に弊社にお声をかけて下さいました。
セットされたプランターに水捌け砂利、植え付け土を入れます

 弊社がご用意致しました円形プランターは、ウッドデッキと同レベルの高さでセットされております。
 こちらは上棟前日に納入をさせていただき、工務店様がこの様に綺麗に収めて下さいました。
 排水構造、ウッドデッキの作りなど、非常に高レベルな仕上がりとなっておりました。
 プランターの直径は1.2メートルあり、容量は600リットル近くになります。
 
 
 排出される水が泥を含まない様、ろ過の為の砂利を厚めに敷き込んでいきます。
 鉢底用ネットを設置し、砂利を入れていきます。
 プランターが設置された下には排水溝があり、そこを通って水が外へ排出されます。
 厚めの砂利が浸透水をろ過し、透明な水が排出される用になります。
 また、水分が閉じ込められがちなプランター内部から速やかに水を抜く効果を持ちます。

 堆肥が混合された赤土をベースに、腐葉土を通常よりやや多めにブレンドしながら土壌を作っていきます。
 植栽樹種がヒメシャラという事もございますので、出来るだけ山の土に近づける必要がございます。
 適度な湿度と柔らかみを持つ土に仕上げ、植栽へ移ります。
室内よりヒメシャラを搬入し、植栽します

 お住まい内部に養生を施し、坪庭へヒメシャラを搬入致しました。
 ご用意致しましたヒメシャラは樹高3.6メートルの本株物であり、本株独特の自然な放射状の立ち上がりを見せております。
 中心から立ち上がる幹が一旦外側へ向かい、そこから真上に伸び上がる事で生まれる広がり感が特徴です。

 プランター内に納められたヒメシャラの根です。
 樹高の割に小さく丈夫に作られた、植木と致しましては高品質な部類に入る根巻き状態です。
 数本仕入れた兄弟木(同ロット)の中より、環境と搬入性を考慮して選んだ1株です。

 縛りを解いたヒメシャラの樹形です。
 360度あらゆる方向より眺める植栽ですので、片方の枝が充実した様な物ではいけません。
 この状態で向きを調整し、植栽をしていきます。

 向き、深さ、傾き加減が決定したヒメシャラを水で締め、植栽の仕上げと致します。
 腐葉土と赤土がブレンドされた土壌は柔らかく、ホースからの水で出来るだけ下へ沈み込む様にします。
 山間の土を再現する為に肥料関係は用いず、堆肥は幹皮が主原料であるバークを主体にしております。
 ゆっくりと長く、土中に有機質、酸素、微生物が住まう環境になります。
ヒメシャラの足元へグランドカバーを寄せ植えします
植栽を終えたヒメシャラの足元へ再び乾いた土をまぶし、グランドカバーで覆っていきます。
 
 
 中庭という立地上、夏場でも直射を受ける時間は長くはございませんが、元々山間部の木は足元を草で覆われていたり、自身よりも背の高い木の下で生長する環境にあります。
 足元は湿生植物であったり笹であったり様々ですが、幹元をさらされる事に慣れてはいません。
 景観や保護の意味合いを含め、ブルーパシフィックを使ってこの様に施工をします。
ブルーパシフィックに剪定を施します

 植栽したブルーパシフィックに剪定を施していきます。
 この作業は完成時の見た目だけではなく、植え付け後にすぐさま新しい芽を出す様に促す意味合いを持ちます。
 特に絨毯状に生長をさせるグランドカバー類におきましては、低く新しい芽が充実する事で美しく育ちます。
 この作業はお客様ご自身におきましても時折行っていただく様お願いを致しております。

 整枝剪定を施したグランドカバーの仕上がり。
 揃え過ぎずやや遊びを残しておりますが、新芽を出す箇所がふんだんに作られております。
 再び散水をして、今回の施工が完了となります。
植栽施工を終えた中庭の様子です

 許容範囲いっぱいに自然に広がるヒメシャラの樹形が、お住まいに優しい雰囲気を与えます。
 冬季は写真の様に葉を落としますが、その際でも美しい樹形である事が大切です。
 グランドカバーは緑を残しますので、冬季もいきいきとした風景となります。

 玄関を入った際はこちらの風景が迎えてくれます。
 毎日目にする、自然味ある優しい風景を作る事が出来ました。
 垂直に美しく伸びるヒメシャラの幹が、中庭の高い吹き抜けをより強調し、お住まいそのものをさらに立派に見せてくれます。
今回ご用意致しましたヒメシャラにつきましては吟味にお時間を戴く事となり、お客様には大変お待ちいただく事となりました。
 お陰様で良い植木をご用意する事が出来ました事に、改めまして御礼を申し上げます。今回はお住まいの中で最も重要と位置付けられておりました部分をお任せいただき、光栄に存じます。
中庭の使い道は様々です。
 休むスペース、遊ぶスペース、または物干し場などの実用スペースとしてなどが挙げられます。
 お庭はたくさんの植木が必ずしも必要ではなく、今回の様に少数の良い物を引き立てる事で、中庭を埋め尽くす事無く仕上げる事が出来ます。
 お住まいの設計段階の方は、是非少数の植木でスペースを活かすデザインも考えられてみては如何でしょうか。
それでは失礼致します。








 
  
 