アラカシはブナ科・コナラ属の常緑広葉樹で、シラカシと共に庭づくりで古くから植栽されてきた植木です。
アラカシの株立ち物はボウガシと呼ばれる事もあります。
造園上の用途は1本(株)を単体で植栽する事が多く、玄関脇や古い坪庭・中庭などでその姿を目にします。
シラカシよりも葉が大きく広く、葉脈がはっきりと浮き出て見える特徴があります。
葉が大きい代わりに葉数はシラカシよりも少なく、葉と葉の隙間が広く空いており、幹の周囲には葉が付きにくいです。
お庭での生育傾向
シラカシと同様に伸びる力は強く、伸びる枝も太い傾向があります。柔らかく小さく維持しようと「カット」を続けた場合、樹形が崩れるのが早いです。
崩れるというのは切り口までの部分があっという間に太ってくる事で、剪定後も非常に硬い印象の木に見えてしまいます。
ある程度の幅や高さを容認しつつ、枝数を減らして向こう側の景色が見える様な姿になっている事が望ましいです。
お勧めの植栽方法
先述の様に、目隠しやワンポイント的な植栽をするのがお勧めとなります。
魅力を活かす剪定を施していればシラカシよりも和風で優美な姿にも見える為、大切な景観ポイントへの植栽にも向いています。
葉の一枚一枚が余裕を持って展開出来る樹形にすれば、背景の垣根などとの調和を楽しむ事が出来ます。
垣根ですと和風の印象ですが、ウッドフェンスやおしゃれなフェンスと合わせて維持すれば、しっかりと洋風ガーデンの印象も演出してくれます。
枝が混んでくると自発的に枯れる傾向が強く切り口も太りやすい為、生垣などにはお勧めしておりません。
お庭での剪定・メンテナンス
シラカシと同様に、必ず太く長く飛び出す枝が幾つも発生します。
その様な枝は元から間引き、途中でカットする様な事は厳禁です。あっという間に再度同じ枝が発生するだけでなく、さらに伸びが強くなって樹形が乱れる原因となります。

アラカシの自然な剪定例
こちらのアラカシの剪定では、剪定前後でほぼ背丈が変わっていないことがお解りいただけると思います。
庭木をすっきりと見せるのと背丈を低くするのは別のお話であり、骨格を形成する最低限の枝数に減らすだけでこの様な自然な姿で維持する事が出来ます。
こちらのアラカシは植栽から4年手付かずで放任させましたが、それがかえって樹形を崩さない剪定を可能にさせます。 不用意なカットの繰り返しを行いますと、この様な仕立ては難しくなってしまいます。
特に生育の速いカシ類の剪定におきましては「切り揃える・カット」という認識は捨てて、不要な強い枝(場合により幹も含む)を外し、残った小枝も少なくする剪定が大切です。
庭木として維持する際も、ある程度の大きさを容認する事が第一かと思います。