庭のデザインから作庭を行っております、新美園:新美雅之です。

庭のデザインを考える機会と言えば、

  • これからお住まいを新築される
  • 新築のお住まいに引っ越されたもののお庭が更地
  • 現在の庭が荒れてしまいリフォームを考える

こんな時だと思います。

塀周りが完成したものの庭が更地の状態

塀周りが完成したものの、庭が更地である状態

弊社でも主に上記の際に庭づくりのご依頼をいただく事が多いです。
お客様ご自身におきましてはデザインについての確固なご要望はお持ちになっておらず、基本的にお任せを戴くケースが多くなっております。

新美園では私を始め、デザインを担当した者が自身で作庭工事を行うスタイルを守り続けております。

こちらのページでは、施工者でもあります私から、お庭づくりに取り入れていただきたいデザインのコツや工夫等をご紹介したいと思います。

 

将来の庭の姿とメンテナンス性を考えよう

弊社の考えるお庭は、高木・低木・下草など、庭木が主役となるデザインが主となります。

古くから植木屋として続く弊社は、実際に植えた木がどの様な成長をするかを意識して、樹種選びやレイアウトを行います。

植栽の将来性を考えたレイアウトとは?

植木の成長を見越した植栽レイアウト

植木の成長を見越した植栽レイアウト

お庭の主役として点在させる植栽は、それぞれ品種毎に異なりますが大きく成長をしていきます。

施工完了時の出来栄えを最優先するならば様々な植物を寄せ植えすれば良いかもしれませんが、お住まいのお庭は長期に渡って付き合う事となりますので、植木は大きくなる事を前提としたデザインが必要になります。

最も的確な方法は、完成時は植木同士の隙間が広く感じる程度に空けておき、自然な成長によって充実させていくのが良い方法と言えます。

小さな木をたくさん並べている例もお見掛けしますが、ゆくゆくは多くの木を手入れしなければならないお庭になってしまいます。

 

メンテナンス範囲を剪定業者とDIYに分ける意識

お庭へは様々な大きさの植物を使ってデザインが施されますが、それら全てを剪定業者様へご依頼する必要は無く、メンテナンスをご自身で行っていただく範囲を決めておくのも有効です。

DIYでも行いやすいグランドカバー剪定

DIYでも行いやすいグランドカバー剪定

背の低いグランドカバー類のカットなら、繊細に枝を選ぶ必要も無くご自身にてメンテナンスを行える事と思います。

弊社ではこの様なDIYで維持管理が出来るエリアをお庭の各所に取り込んだデザインを行っており、これにより足下の仕上がりも綺麗に成長し、より美しい庭へと変わっていきます。

立ち木も必要最低限の本数に留め、多くても1年に1度の剪定作業で綺麗に成長させる事を踏まえております。

 

資材の劣化を想定しておく

庭づくりや造園に使われる資材は、配置されてから絶えず強い紫外線や風雨にさらされ、その姿や色味は必ず劣化してまいります。

私がお庭のデザインをする際は、いわゆる「資材の美しさを最前面に出す」といった事は避ける様にしています。

これは資材が主役の庭において劣化が進んだ際に、景観が非常に宜しくなくなるからです。

劣化に対する具体的な策はありませんので、この経年劣化をどう活かすかが必要になってきます。

「劣化」がアンティークに見えるマテリアルを活用する

当初からアンティーク感を感じさせる造園資材

当初からアンティーク感を感じさせる造園資材

洋風の庭でも、時間が経過したアンティーク感を楽しむ素材はたくさんあります。

庭づくり当初からこの様な資材を使ったデザインをしておりますと、劣化や退色が少しずつ進行しても違和感がなく、むしろお庭に味わいが増してくる様になります。

 

時間の流れをデザインして、風化を景観美につなげる庭

長い時間の経過をデザインした和庭

長い時間の経過をデザインした和庭

こちらのお庭は施工直後に撮影をしており、いわゆる生まれたての庭です。

植栽はまだ仮植えされていた時の色や姿をしていますが、これは自然に新たな場所に応じた姿へ変化していきます。

石や資材においては、作庭から既に時間が経過した様な雰囲気を出す様にデザインをしています。

この様な庭であれば、時間の経過も劣化も美しさの要素として活かされていきます。

 

庭の「活用方法や使い道」を考えよう

一言でお庭と申しましても、お客様それぞれ存在意義は異なるものです。

お庭、と聞いて連想するイメージも、「庭園」「遊び場」「ガーデニング」など様々です。

弊社ではお客様がお考えになられる「庭の存在意義」を踏まえ、活用方法からもデザインを考えております。

それではお庭の使い道それぞれからデザインした実例を見てまいりましょう。

眺める為の庭

お住まいから眺める為のお庭は古くから続く景観様式と言えます。主に眺める庭は和風の庭とする事が多いのもこの為であり、一か所からしか眺められない分、限られた中で立体感や躍動感を出す事が求められます。

リビング前にデザインした眺める為の庭

リビング前にデザインした眺める為の庭

こちらはリビングから眺める為にデザインを致しました和風の庭になります。遠景らしさを演出する為、さほど広くないお庭の中でも空間を配置するのが基本となります。

黒松の植え付け部分は土盛りを施しており、逆に手水鉢周りは深く掘り下げた地模様とし、限られた面積の中で高低差を付けたデザインになっています。

 

遊ぶ庭・使う庭

お庭の面積が広い場合は、思い切ってお子様の遊び場としてデザインをする事もあります。
マルチング材に柔らかい物を使い、植栽を最低限の数に留めればプライベートな公園の様に庭を活用できます。

遊ぶ為の庭デザイン実例

お子様が遊ぶ為のバークチップの庭

お子様が遊ぶ為のバークチップの庭

こちらのお庭は少数の洋風植栽エリアを作り、一面に防草シートとバークチップを敷設したお庭です。

柔らかな地面に遊具を設置すれば、のびのびと遊べる公園の様なお庭に。

 

踏み心地も柔らかでお子様にも安心なお庭

踏み心地も柔らかでお子様にも安心なお庭

こちらのお庭もバークチップエリアを中心にデザインし、小さなお子様も安心して遊べるお庭になっています。

既存のフェンスが目隠し効果を保っておりますので植栽の数も最低限でレイアウトができ、空間となる部分を広く確保しています。

 

庭をプライベートな森に見立てたデザイン実例

憩いの場所として「使う庭」をデザイン

憩いの場所として「使う庭」をデザイン

道路に囲まれた小上がりの立地ながら、シックな樹脂フェンスによってプライベート感を確保した雑木の庭です。

お庭を身近に感じ、庭で過ごす時間を大切に考えられるお客様へは、居心地の良いデザインを考えます。

お庭でくつろぐ為のテラスをデザインの軸として中央に配置し、そこへ誘う動線にデザイン性を持たせています。

地面を固める部分はテラスに限定し、他のグラウンド部分は自然に見える割砂利やバークチップでカバーしています。

植栽はテラス方向に傾ぐ様な雰囲気でレイアウトをしていますので、ゆくゆくは森に囲まれた様なお庭へ成長していきます。

 

飾り庭

飾り庭の位置付けは、門周りや玄関などに整備された小空間や花壇へデザインを施す場合となります。

眺める、使う庭と異なり、建物と一体となった景観を形成する庭、お住まいへ飾り付ける庭という意味合いを持ちます。

玄関前の小スペースでお住まいを飾るデザイン

お住まいを美しく飾る小庭のデザイン

お住まいを美しく飾る小庭のデザイン

三角形の小さな場所はデザインが難しくもありますが、主木の配置が取り決めやすい利点があり、庭として活かすと躍動感のある風景を作る事が出来ます。

こちらのデザインの特徴は、4段階に分かれた高低差にあります。最下層である砂利部分を含めあらゆる高さの植栽を配置しており、小さな場所でも楽しい立体感が生まれます。

植栽はそれぞれ生育パターンを加味しておりますので、剪定管理によって高さバランスを崩さず維持する事が出来ます。

 

小高い花壇を使ってお住まいを飾り付ける実例

道路沿いの花壇に洋風デザインを施す

道路沿いの花壇に洋風デザインを施す

通り沿いを庭としてデザインする際に注意したいのは、やはり生育によって枝が越境する事かと思います。

歩行者が絶えず往来する通り沿いでは植栽も難しいかと思いますが、静かな住宅地であれば生育を考慮した植栽デザインが可能です。

こちらの花壇ではソヨゴやアロニア等、生育の緩やかな植栽を中心にデザインし、足下は明るいカラーリーフで色彩に工夫を凝らしています。

全てを低木類や砂利で覆い尽くすのではなく、こちらの様に人工芝を使った空間もメリハリのあるデザインとしておすすめ出来ます。

 

歩く庭・通り庭

眺める庭や使う庭とも異なり、通路沿いを美しくデザインする事もございます。これは通り庭として位置づけされるもので、当然ながら歩きやすくも綺麗な景観作りが求められます。

通路と花壇でシンプルな通り庭をデザイン

通路と花壇でシンプルな通り庭をデザイン

こちらはお住まい横の通路へデザインを施した実例です。お客様より戴いておりましたご要望、
・歩きやすく
・花壇があり
・伸びの遅い木があり
・ナチュラルな雰囲気に
という各項目を融合させ、シンプルな通り庭をデザインしております。

お住まい横は直線的なスペースである事が多い為、枕木通路とランダムな庭石組みによって自然な柔らか味を演出しています。

 

立水栓へ向かう通路周りをデザインした実例

立水栓へ向かう通路を庭としてデザイン

立水栓へ向かう通路を庭としてデザイン

こちらは門を入り、玄関へのアプローチから立水栓へ向かう通路へデザインを施した実例です。

水栓に向かう通路もお庭らしく見せるべく、植物に優しく包まれるデザインとしており、少々日陰の気味の環境に合わせて耐陰性の植物を中心としたレイアウトをしています。

通路となる部分の左右は大きくならない、いわゆる低木や下草類で色を散りばめており、洋風外構に合わせたデザインとなっています。

 

お庭スタイル(様式)を引き立てるデザイン方法

お庭のデザイン様式は、
・和風の庭(純和風・茶庭・露地庭・坪庭・和風モダン等)
・洋風ガーデン(南欧風・西洋風・ドライガーデン・芝生の庭等)
・自然な庭・ナチュラルガーデン(雑木の庭等)
この様に大きく3つのジャンルに分けられます。

様式の違いに関わらず、弊社では植物を主体とした庭のデザインを行っておりますので、緑深く柔らかい印象のお庭となります。

それではお庭の様式毎に、デザインのお話をしてまいりましょう。

和風の庭デザイン

和風のお庭と言えば、どんな風景を思い浮かべますでしょうか。

多くの方が、黒松や枝物の大きな木が植えられ、灯篭や庭石が配され、飛び石が打たれたお庭を想像されるかと思います。

もちろんそれらは和庭づくりにおいて大切な要素ではありますが、現代の住宅事情では全てを盛り込むには無理が生じます。

庭石や添景物を主張し過ぎないデザイン

庭石や添景物を主張し過ぎないデザイン

私が和庭をデザインする際は、景観の要となる添景物があってもそれを誇示せず、周囲の風景と溶け込ませる様なレイアウトを心掛けています。

最低限の数でレイアウトされる和の要素を如何に美しく引き立てるかが、弊社の和庭づくりに共通したテーマとなります。

灯篭・石橋・枯山水等、和庭の風情を集約したデザイン

雪見灯篭と石橋のバランスを考える

雪見灯篭と石橋のバランスを考える

幅が短い反面、長い奥行きを持つ庭を活かすデザインを考え、長く続く枯れ流れを配した和風の庭です。

空間取りとして錆砂利に仕立てたエリアとのコントラストを付ける為、枯れ流れは黒玉砂利によって形成しています。

大型の雪見灯篭は単純に据え付けますと存在感が大き過ぎる事となり、庭の遠景バランスを崩してしまいます。

そこでこちらでは自然味のある植栽に抱かれた様に灯篭を設置し、台座も流れの一部として組み込んでいます。

自然な枯山水のデザインで違和感無く馴染む石橋

自然な枯山水のデザインで違和感無く馴染む石橋

石橋も存在感の大きい添景物ですが灯篭と同じ視界に組み入れる事で目立ち過ぎを防止し、遠くから庭を眺めた際にバランスが取れる様にしています。

川の流れらしく自然にレイアウトした庭石の動きにより、石橋が単純な飾りではなく必要不可欠な物に見える、そんな風景をデザインしました。

眺める・使う、変則型にも対応出来る蹲(つくばい)の構成

眺める、使うの二側面を持つ蹲(つくばい)

眺める、使うの二側面を持つ蹲(つくばい)

蹲(つくばい)は茶事の際、茶室へ向かう前に口を清める場としての意味合いを持ち、その構成には決まり事もございます。

水を溜めた鉢の事をつくばいと呼んでしまう例もありますが、設置された鉢はあくまでも「手水鉢(ちょうずばち)」であり、蹲とは灯篭(水照らし)、手水鉢、左右の役石(湯桶石・手燭石)、前石、海のそれぞれが組み合わさって機能する全景を指します。

この構成をデザインとして庭へ取り入れるに広い面積は必要無く、素材選びと無駄のないレイアウトによって坪庭等にも取り入れる事が出来ます。

その為「使う」といった意味合いよりも「眺める」物としての認知度が高く、これがデザインとして現代まで親しまれています。

もちろん蹲という形式に捉われず、水鉢をメインにした現代的な情景をデザインする事も出来ますので、こちらにつきましてはご相談を戴ければと思います。

伝統とデザイン性を組み合わせる和モダンのデザイン

和モダンのデザインとは、どこか和風の文化や形式(配置性等)を残しつつ現代的な素材を用いて庭を構成するものと定義されます。

かつての和風庭園における素材は手仕事によって作られた物が多く、石材も割れや削れ、丸みを帯びた表情を持つ事が多かったものですが、現代の技術によりあらゆる石材・素材が機械によって直線的でシャープな表情を持つ様になりました。

この様なシャープな素材を使って和庭を仕上げますと、どこか現代的な表情を楽しむ事ができ、それが和モダンという味を出しているのではないかと思います。

直線デザインの繰り返しが和モダンを演出

直線デザインの繰り返しが和モダンを演出

従来からの石材を使いながらも、デザインを直線・規則的に構成する事でモダンな表情を作る事も出来ます。

こちらのお庭では従来からある30cmサイズの小さな敷石を市松模様にレイアウトし、日向向きの苔とのコントラストを効かせたデザインになっております。

庭での市松模様は古くからあるデザインですが、いわゆる「崩し」に近い模様になっている事が多く、等間隔で組まれたデザインはどこかモダンな印象を楽しませてくれます。

 

洋風ガーデンデザイン

洋風ガーデンが和風の庭と異なる点としては、植物以外の素材が明るい色彩を持つ事が多く、レンガや石板などが賑やかな庭を演出します。

私が洋風の庭デザインを考える場合、これら素材の色彩が経年劣化によって退色する事を考え、予めシックなカラーの物を使う様にしています。

洋風テイストのオリーブとシマトネリコ

洋風テイストのオリーブとシマトネリコ

シックな洋風素材が多くレイアウトされる場合は、この様な洋風の木を植栽する事でガーデンらしさをプラスし、洋風の庭らしい雰囲気を出す様にしています。

シマトネリコやオリーブなどは特に日照りや乾燥に強いので、庭のシンボルとして大いに目立たせるのが良いでしょう。

シックな洋風資材で周囲の植栽を引き立てる

シックな平板が周囲の緑を美しく見せる

シックな平板が周囲の緑を美しく見せる

こちらのガーデンでレイアウトされた平板は、石板が退色した様な雰囲気で仕上げられており、洋風ガーデンとしてはシックな印象になっています。

この為、周囲の植栽に色彩が目立って引き立てられる様になり、緑深いガーデンが演出されます。

広くアプローチを取るデザインは植栽エリアが凝縮される為、よりグリーンが充実した様な雰囲気に見せる事が出来ます。

洋風のお住まいにマッチする芝生の庭

庭全面を覆う芝生がお住まいを引き立てる

庭全面を覆う芝生がお住まいを引き立てる

洋風ガーデンと言えば青々とした芝生の庭をイメージされる方も多いと思います。

海外の写真などは広々とした芝生による庭デザインが多く見られ、これをご自宅に取り入れるお客様も少なくございません。

ですが芝生については以下の2点、
・芝生に適した環境
・芝刈りその他の自己メンテナンス
が必須であり、これが揃わなければ美しい芝庭が持続する事は不可能となります。

芝生面積を最小限にしてデザインに取り込む

芝生面積を最小限にしてデザインに取り込む

長時間の日当たりと風通しが必要な芝生は、日本の高い湿度上その必要性は特に高くなります。

芝刈りを頻繁に行うのは湿度対策(蒸れ防止)の意味合いもあり、このメンテナンスの間隔が空いてしまうと葉の密度が極端に落ち、回復が非常に難しくなります。

ですので庭のデザインに芝生を取り込む際は、メンテナンスの手間が極力掛からない様に、面積を最小限に留めて芝生の緑をアクセントとして活かす事が有効です。

かえって芝生の緑が映える様にもなり、景観向上にも効果的なデザインと言えます。

個性的な植物でデザインするドライガーデン

ドライガーデンは個性的な植物やロック・庭石が主役となる庭で、実はメンテナンスが容易であるという特徴があります。

原始的とも言える植物がメインとなりますと、通常の様な「剪定」がほとんど必要無く、「古くなった葉を取り除く」「殺菌剤(病気予防)散布」といった程度の手間で済んでしまいます。

植物が主役となるドライガーデンのデザイン

植物が主役となるドライガーデンのデザイン

ドライガーデンのデザインに取り込む植物は、ヤシ類、ドラセナ・コルディリネ、ソテツ、ユッカ類、アガベ(リュウゼツラン)、ニューサイラン、カレックス等が多く、その個性的な色味や形状が楽しい庭を演出します。

これらの植物は乾燥に非常に強い傾向があり、砂地や荒廃地をモチーフしたデザインに自然と良く似合います。

荒廃地らしい情景を作るには茶系色の割れ石、岩が最適ですので、これらは洋風の庭石を使ってデザインを表現する事が可能です。

石灰岩やパステルカラーの砂利で演出する南国感

上でご紹介致しましたドライガーデンは、少し工夫を加える事で南国調、バリ風とも呼ばれるデザインにも近付ける事が出来ます。

個性的な植物とパステル砂利が南国感を

個性的な植物とパステル砂利が南国感を

ドライ調の植物に加え、低木類にマホニアコンフューサや這性コニファーを加えるとリゾート感が加わり、南国を彷彿させる石灰岩やホワイト調の砂利等を敷き込むのも有効と言えます。

既にリゾート感のあるお住まい等にはとても良く調和しますので、面白味のある庭としてもお勧め出来ます。

 

ナチュラルガーデン・自然な庭のデザイン

近年ではあらゆる場面でナチュラル志向が強まっており、その優しい雰囲気に包まれる様な生活が人気になっています。

特にお住まい建物についてもナチュラルな人気は高く、同時にお庭へもナチュラル・自然なデザインが好まれる様になっております。

自然風景を住宅地に適応する範囲で再現

自然風景を住宅地に適応する範囲で再現

周囲が開けて隣家も接近していない様な場所でしたら、将来的に樹高が8m近くになる木を放任しても宜しいのですが、現実的には別荘地でさえ制約がある場合もあります。

まして住宅地ですと樹木の隣地越境はもちろん、道路や駐車場などへ大量の落ち葉が飛散する事は避けなければなりません。

また、雑木類の剪定は枝整理がメインとなりますものの、ある程度の規模へ留めるには毎年大型の枝を払う必要があります。

私がナチュラルガーデンをデザインする際は、あくまでも自然は「自然味」と捉えており、庭木として維持が可能な樹種を中心にレイアウトを行います。

樹種を吟味すれば十分にナチュラルなデザインを体現する事は可能であり、これらを如何に生活に支障なく自然に見せるかがポイントになっています。

環境を考慮したナチュラルデザインで、専用庭を自然な風景に

特に周囲への配慮が求められるのは、マンション1階の専用庭ではないでしょうか。

専有面積や庭木との距離感にもよりますが、使用規約を遵守すればナチュラルガーデンをデザインする事は可能です。

マンション1階を自然味ある風景にデザイン

マンション1階を自然味ある風景にデザイン

植物の高さや本数、隣地状況を踏まえてデザインしたナチュラルガーデンです。

左側は隣家様、右側は空白地になっている環境を考慮し、左側は常緑樹の植栽、中心~右側へ落葉樹をレイアウトしています。

施工直後の写真ですと樹木間隔は広く空いておりますが、これらは後々頭上の高さで接近し、より自然な風景になっていく事を想定しています。

これにより低い場所は歩行の妨げになる枝は無く、余裕のある通路や菜園をデザインに加える事が出来ます。

イロハモミジやジューンベリー、アオダモなどは枝の整理で十分に管理する事ができ、放任してもすぐに圧迫感を感じるスケールにはなりません。

洋風エントランスに合わせる自然な植栽群

既にしっかりと整備されたアプローチ周りがある場合でも、植栽の配置デザインのみでナチュラルな風景を表現する事が出来ます。

株立ちと呼ばれる複数本の幹で構成される落葉樹は、ある程度既に背が高い木を植栽する事がお勧めです。

植栽レイアウトのみでアプローチがナチュラルな風景に

植栽レイアウトでアプローチがナチュラルに

こちらは既にアプローチが整備された場所へ、植栽によるナチュラルデザインを施した実例となります。

先にも述べましたが落葉樹は予め背の高い木を植栽しておけば、生育によって想定外の姿になってしまう事が少なくなります。

これは背の低い木程生育が旺盛である事に起因しており、これを想定しないレイアウトはおすすめ出来ません。

小さな落葉樹を寄せ植えしてしまいますと、生育によって早い段階で植木同士が接触してきます。

木立の様な景観を作る為に同種の木をあえて寄せ植えする事もございますが、高木・低木による組み合わせ以外は適度な距離をとって植栽するのが望ましくあります。

自然の中で大いに樹木を生育させるナチュラルガーデン

自然に囲まれ面積も広いお庭でも、管理のしやすいナチュラルなお庭をデザインする事が出来ます。

下の実例では、木をたくさん植えられる場所でもあえて最低限の本数の植栽で構成し、お客様がガーデニングを楽しめるお庭にしております。

自然環境の中で育むナチュラルガーデン

自然環境の中で育むナチュラルガーデン

このお庭のデザインは、ヤマモモ・イロハモミジ・ジューンベリーを主木として三角構図でレイアウトのうえ、三角形それぞれの中央空間へ広い花壇、園路、芝生の空間を設けています。

ご自身で育てられる草花が元気よく育成するには、この様な園路や芝生の空間が不可欠となります。

園路は枕木調のコンクリート平板、花壇の縁石も角材を模した製品を使っております。

庭に溶け込む立水栓周りのデザイン

庭に溶け込む立水栓周りのデザイン

立水栓周りのデザインも、庭の一部に感じられる様なナチュラルな印象に。排水パン等を置かず、シンプルかつ最低限の機能性を考えた作りに見せています。

お住まい側面も植物が活き活きと育つ自由で自然な印象のデザインにしており、ゆくゆくの成長によって緑の中にお住まいが建っている様な風景になっていきます。

この様に、お庭のデザインはスタイルそれぞれの魅力を活かせる様に設計をしております。

 

庭を立体的に見せる、デザイン上の工夫

お住まいの庭は面積も限られ、かつての大邸宅の様に庭園を構えるケースはごく稀です。

一昔前は美術館等を始め公共の建物などで大庭園を造る事も多かった造園業界ですが、現代では小~中規模の中でデザインをする事が大切な仕事と言えるでしょう。

新美園はかつてより個人邸の造園工事を起源としており、限られた面積を美しく見せるデザインを心掛けてきました。

ここからは規模の大きくないお庭を立体的に美しく見せる工夫を見てまいりましょう。

「埋める」のではなく「空ける」事で、空間をデザインする

新美園が手掛ける庭デザインにおきましては、庭として活用する面積を全て資材や植物で埋め尽くす事は避けております。

植木や造園資材のそれぞれが魅力的に映える為には、ある種の「空間」が必要になってくるからです。

和風の庭の中に空間をデザインした実例

和風の庭にこそ必要な「空間デザイン」

和風の庭にこそ必要な「空間デザイン」

こちらは和風の庭をより魅力的に見せる為に、随所に空間を配したデザイン例になります。

こちらのお庭を眺めるのはお住まいリビングからであり、より広大な庭園に見せるにはやはり遠くへビューポイントを設置するのが有効となります。

背景の人工竹垣が美しく見えるのも植栽の数が少ない事に起因しており、植木それぞれの存在感と枝振りがくっきりと浮かんでいるのがお解りいただけると思います。

 

洋風ガーデンにも空間を置くデザインを

洋風ガーデンの中央に空間を確保

洋風ガーデンの中央に空間を確保

洋風の木や資材がデザインされたガーデンですが、この様な庭だからこそ美しく実用的な空間を設ける事が出来ます。庭の中央に空間を設けた実例ですが、この空間は庭の中央に光と風を呼び込む為、植物の健全な生育はもちろん住環境にも良い影響をもたらします。

庭木はなるべく枝先を詰めず自然体で生育させたいもの。この適度な空間を設けておけば、自然な枝の張り出しや、木が傾ぐ雰囲気を育てていく事が出来ます。

 

遠景を意識したデザインでバランスを取る

お庭のデザインを行う際に気を付けておりますが、「ビューポイントにこだわり過ぎない」という事も大切です。

いわゆるお庭の中のメイン部分や見せ場に該当する箇所ですが、この様な部分を限定的に決めてしまうと、お庭の全景がないがしろになってしまう事があります。

また、お庭は様々な角度から眺める場合もありますので、その様なデザインですと「ビューポイントをどこから見るか」という違いだけにとどまってしまい、お庭に奥深さを感じにくくなってしまいます。

ビューポイントを全体デザインに溶け込ませた実例

見せ場となる部分を広くデザインした和庭

見せ場となる部分を広くデザインした和庭

こちらのお庭では見せ場となる蹲周りを全体デザインに繋げており、さり気ないビューポイントとして見せています。

特に見せたい場所に植木や庭石を凝縮してしまうと庭の隅々の存在感が薄れてしまい、いわゆる遠景が美しく見えなくなってしまいます。

 

庭のデザインで活きる三角構図

あらゆるジャンルのデザインにおいてランダムさと自然さを作る上で欠かせない「三角構図」ですが、庭のデザインにおいては基本となる程に大切な要素となります。

植栽デザインにおける三角構図

植栽デザインにおける三角構図

上の図面は庭デザインを組んだ際に主要な植栽位置を赤線で結んだものですが、三角形が連続して構成されるのがお解りいただけると思います。

三角形の植栽構図には利点が多くあり、庭の奥深さ・立体感を演出する要素も多く含まれます。

まず三角形の中心部は必ず空間が生まれ、庭の利便性を確保できます。

また、窓から眺めた際に複数本の木が視界に入るのは自然ですが、この構図ですと視点から同じ距離に生える木が無いという事になり、全ての木が前後して植栽された立体的なレイアウトになります。

 

植栽デザインを三角構図で行った実例

三角構図により全植栽が前後して見える配置

三角構図により全植栽が前後して見える配置

こちらは三角形を連続させた植栽レイアウトにより、中央に空間(通路を設置)を設けた実例です。

植栽配置は主に入り口となるこちらのアングルからの眺めを意識してデザインをしており、全ての植木が視界に入り、尚且つ全ての木が異なる距離を持って植栽されているのが解ります。

加えて三角構図は植木同士の空間が広く取られる為、ある程度柔らかく生育させていく事が可能であり、将来的にも美しく成長する庭となります。

 

ご要望や環境、使い道に合わせた庭デザインを承ります

面積や環境によって使い分ける様々なデザイン上の工夫をご紹介してまいりましたが、如何でしたでしょうか。

お庭の活かし方やデザインについてお悩みのお客様はお問い合わせ方法をご参照の上、ぜひお声掛けをいただければと思います。

デザイナーが自ら施工を行うスタイルによって、安心のお庭づくりをご提供致します。

 

執筆者:新美雅之(新美園HP作成・作庭者)

執筆者:新美雅之庭木や庭デザインについて、作庭者の経験を活かして現実的に解説をするコンテンツを目指し、日々執筆しています。