黒玉砂利による枯れ流れがお庭の奥まで続く風景。蹲や石橋が風情を感じさせる和風のお庭です。

杉並区のM様邸での庭造りにおきましては、枯れ流れが奥まで伸びやかに続く構成が特徴です。
お庭の入り口では雪見灯篭が出迎え、石橋のある風景が垣間見えます。
流れは中流の流れの様に続き、蹲の海に繋がる構成となっております。

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お庭の入り口より奥を見渡す様子。立派な根府川石を台石とした六角雪見灯篭が迎えます。比較的日当たりの良いこちらの部分はハナズオウやヤマモミジに囲まれ、ツツジ類でデザイン致しております。雪見灯篭は石材問屋まで出向いた際、何基もある同型の物から時間を掛けて吟味致しました物をお納め致しております。こちらから始まる枯流れは石橋をくぐりお庭の奥まで続きます。遠くに蹲が見え隠れする眺めとなっております。

お庭の入り口で出迎える大型の雪見灯篭は、周囲の植栽と溶け込ませて存在感を中和します。

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大型の雪見灯篭は面の部分が広くなり、大きくとも優しい表情が特徴です。ですが添景物が目立ち過ぎる事は好ましくございません。こちらの部分では背の高いヤマモミジを連続した植栽を背景とする事で燈篭の存在感を美しくぼかす技法を施しております。さらにヤマモミジの作る木漏れ日が陰影を作り出し、立派な燈篭が鎮座しながらもしっとりとした雰囲気とする事が出来ました。

雪見灯篭と共に風景に収まる御影石と太鼓橋。枯流れの魅力を一層高めてくれます。

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左写真:雪見灯篭の奥に架けられた御影石の太鼓橋。石橋のあるお庭は石材が前面に出てしまう事も多いのですが、こちらの作庭におきましてはあらゆる素材が景観として一体となって優しい風景に見える様、作庭中も幾度も配置を整えました。石・木・草が一体となって作り出された和の風景です。
右写真:太鼓橋の持つ曲面を美しく見せる、枯流れとのバランス。深すぎない流れに対し、太鼓橋の曲面が絶妙なバランスで橋渡しの風景を作ります。石で作られた橋ではございますが、硬そうに見えない様な風景を意識して作庭を致しております。

枯流れは僅かでも表情を見せる様に、石組みの際は小さな変化を連続して構成致しております。

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左写真:枯れ流れに沿って中程まで進んだ所で、蹲が見えてまいります。株数の多いヒメシャラを伸び伸びと植栽する事で、手水鉢や燈篭が「程よく」見える様にしております。最奥部の角はマサキを列植する事で奥深い印象になります。
右写真:同じ位置より振り返った様子です。石組みに変化を付けた流れは、逆向きに眺めた際にまた違った風景を見せます。前のめり気味に据え付けた大振りの鳥海石は流れによる抉れを表現し、小石の一つ一つも左右に振りを付けて自然な流れを表現致しております。

景観重視の蹲は眺めに奥ゆかしさを。流れの終点となる、静けさを感じる雰囲気となっております。

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左写真:蹲に辿り着いた様子。普段は水が自然に溜まってしまわない様、アクリル蓋をご用意致しました。こちらによりご来客の際には綺麗な状態で新しく水を溜める事が出来ます。茶事の蹲とは異なり景観を重要視してデザイン致しましたこちらの蹲は役石を持たず、流れの終点と一体となって静かに佇む印象となっております。
右写真:流れの中に独立して佇む手水鉢(鉄鉢型)はくっきりとフォルムを感じる事ができ、シンプルな存在感を存分に発揮します。周囲の植栽と相まって目立ち過ぎる事はなく、一品のオブジェの様に佇みます。

お庭の主役である枯流れを引き立てる植栽群。お住まいにふさわしく、無駄の無い植栽計画を致しております。

石材や庭石をふんだんに使ったお庭ではございますが、それらに合わせる様に植栽は柔らかめの樹種を多く使用致しております。主だった植木はヤマモミジやエゴノキ、ヒメシャラで自然味を出し、枯流れに寄り添う様な植栽を心掛けました。蹲周りにおきましては和風情緒を感じられる枝垂れ梅や照手桃などを合わせております。6
歩行部分となる砂利空間は、歩きやすく防草対策を施した整備を致しました。この空間がある事でお住まいと植木に適度な距離感が生まれます。平らに整えられた砂利敷き部が存在する事で、枯流れの石組みが一層引き立てられる視覚効果もございます。リズミカルに植栽配置された下草・低木類は、石組みの動きをより美しく、鮮やかに見せてくれます。